「リトル→シャロン→ブラック」ムーンライト 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
リトル→シャロン→ブラック
マイアミの犯罪多発地域に暮らす少年シャロンの少年時代を3部構成で描いた、第89回アカデミー賞作品賞受賞作品。
周りからはオカマといじめられ、母親はヤク漬け。
そんな彼に手を差し伸べた唯一の友達ケヴィン、そして麻薬の売人フアンと恋人テレサ。
シャロンの状況だけ見ると、辛い現実が続く苦しい映画のようですが、彼を救った3人のおかげで、辛いながらも良かったと安堵できる作品でした。
また、黒人のLGBTQの問題に話を絞っていたので、一つのテーマに沿ってしっかりと観ることができました。
ただ、もう少し他の部分も丁寧に描いて欲しいという気もしましたが。
前半しか出てこないにも関わらず、シャロン以上に印象に残っているフアン。
母親にヤクを売っている麻薬ディーラーであるものの、本当の父親のよう。
マハーシャラ・アリ流石だなと思いました(唇を舐めるクセが可愛い)。
母親もあくまでも母親で、やはり我が子のことが可愛い。
息子に金をせがむまでのクズっぷりですが、本当に息子のことを愛しているんだろうなと、なんだか憎めない。
ただ、これも薬のせいかもしれないと思うと、少し複雑でした(さらに、シャロン自身も売人になりましたし)。
特に何も起こらないのに吸い込まれるように観入ってしまった111分。
あの日、浜辺の月明かりの下でのあの記憶を思い出しながら、ダイナーで食べるケヴィンの料理。
抒情的な映像とともに振り返る3つのライフステージ。
苦しい現実の中にも希望を見出せる、温かい映画でした。
追記:ダイナーの雰囲気良さげでした。
料理も美味しそうだったし、店内で流れていた曲も素敵。