劇場公開日 2017年3月31日

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「間と色彩美を贅沢に使った重く美しい作品」ムーンライト オレさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5間と色彩美を贅沢に使った重く美しい作品

2020年2月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

難しい

マイアミの貧困地区で暮らす孤独な少年、シャロンの半生を描いた作品。

青を基調とした切ない風景の色遣い、言葉少なに間を多く取る演出をベースに、幼少期、ティーンエイジャー、青年期の3つの時代のシャロンを描いた今作。
黒人文化、LGBT、貧困問題に麻薬問題と現代に通ずる重く難しい題材を全て盛り込み、成長していくシャロンを描いた今作は第89回アカデミー賞において作品賞を始め、3部門に輝いた。

今作幼少期からティーンエイジャーにかけて重く悲しい展開の連続がシャロンの身に降りかかり心が折れそうになるが、その中で唯一の希望とも言えるのがファンとテレサ夫妻である。
海で泳ぎを教えながら人生は自分の力で乗り越えなければならないと強さを教えてくれるファン、温かいご飯と優しい言葉で安らぎを与えてくれるテレサの2人の存在がシャロンにとって大きな支えであり、特にファン演じるマハーシャラアリのムキムキの体つきから予想だにしない、優しい眼差しでシャロンを見守る姿のギャップが素晴らしかった。

幼少期のトラウマから自身を偽って成長したシャロンが、ファンと同じように麻薬の売人として日々を送る中でようやく向き合うことのできた母ポーラとの和解とかつて友人以上の思いを寄せていた親友ケヴィンとの再会を通して、ありのままの自分を取り戻せたと感じさせる、青年期のラストに目頭が熱くなった。

オレ