「重要ではあるが、時代や国境を超えるとは思えない」ムーンライト 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
重要ではあるが、時代や国境を超えるとは思えない
あれほどの感受性と得難い人達との幸運な出会いを持ったシャロンが結局は強面(コワモテ)のヤクの売人になる。それがシャロンの選択なのか、それ以外に道が選べなかったのかわかりませんが、この成長物語から読み取れるのは、希望よりは絶望でした。
経済的な階層固定化が、かなりの確率でその後の人生の選択肢を狭めている現実を改めて突きつけられました。
当事者でないと、ついつい気がつかないフリをしてしまうようなテーマを芸術作品として完成度の高いものに昇華することで、世の中の耳目を集め、為政者(特にトランプ大統領⁉︎)や社会を動かしている階層の人達、そして映画を楽しむことができる程度には生活に困っていないような人達(つまり、我々のことだ(^。^))に再認識させるための作品なのかな、と思いました。
日本におけるイジメは仲間はずれとか、ネットでの匿名攻撃のような陰湿なものが多いし(だからと言って直接的な暴力の方がいいということではない)、親子の問題もドラッグよりは過干渉のような子離れできない親とか引きこもりの方が現実的で、正直切迫感はなかった。
今のアメリカを読み解くのに重要な作品であることは間違いないと思います。
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