「観ながらこれ舞台でやったほうが生きるのでは?と思ってたらやっぱり元...」散歩する侵略者 ゆっこさんの映画レビュー(感想・評価)
観ながらこれ舞台でやったほうが生きるのでは?と思ってたらやっぱり元...
観ながらこれ舞台でやったほうが生きるのでは?と思ってたらやっぱり元は舞台の脚本なんですね。なら舞台で見たかった。爆撃もない舞台でどう侵略を表現するかを練られた作品なんだよね??それを映画でまんま爆撃出してどうするの?
概念を奪うってコンセプトは面白いし、日常の中に静かに潜むってところもいい。妙な違和感があって不穏な空気も面白い。
でも頭だけで作った感が否めない。
長澤まさみさんが最終的に松田さん側につく気持ちの流れがわからない。概念を奪うって時点で愛について奪うんだろうなと想像できたけど、そもそも2人の間の愛冷めてたよね?松田さん浮気しまくってたじゃん。好き合ってた頃の2人のエピソードもいまいちだし、後から好きになったとしてもどこで?全く説得力ない。2人の心の交流も感じられなかった。長澤さんの理想の夫はあんななの?
愛を逆に宇宙人からまた教えられてくって構図は面白いのに、肝心のその愛がどんなか全く感情移入できないので置いてけぼり。侵略を止めるほどの愛がどんなか全く感じられなかったから結末がすごく陳腐に思えた。
宇宙人であることの受け入れ方もみんなすんなりなのもついてけないし、2人の人間が宇宙人側につく気持ちになるようなエピソードも感じなかった。
ライターさんが街中で宇宙人に侵略されてることを群衆に叫んで信じてもらえなくて失望するくだりも、そりゃあんな風に言われたって信じられないのが普通だと思う。
登場人物全員の気持ちの流れも不自然。もっと怖がるでしょ?疑問抱くでしょ?長澤さん達が怪しい人に追われて、探して見つけた松田さんが明らかに奪った後で、その後よく「この曲結婚式で歌ったね。寄ろうか?」って教会に入るね??狙われてるかもって不安になるのが普通でしょ。
あと引きこもりが所有の概念奪われて、戦争を無くそうとか言ってるの、はぁ?と思った。その前に親孝行しなよ。身近なものすら守れないで何世界語ってるんだ!って思った。それともこれは皮肉の表現なのかな。
"概念があるからそれに縛られて身動きできず苦しんでる"
言いたいことはわかる。でも身動き取れないほど縛られてるのは、それが大事だからでしょ?概念がなくなれば自由になれる??違うよ、ただ大事なもの無くしただけだよ。縛られないのは楽だけど、執着するものがあるから人は熱を持てるんだよ。何かしようと思うんだよ。
最後もぽっと出の小泉さんが結末もテーマも突然雄弁に語りだしてそこにもがっかり。「今の色んなものに押さえつけられた日本にとってタイミングよかったのかもしれない」??ラストで概要を全部語っちゃうことほどの作品のがっかりさはないよ…
とにかく言いたいことはわかる、そういう理論展開したいのね、って感じ。舞台なら面白く見れたと思う。舞台ってある意味価値観を覗きに行く気持ちで見るし。でも映画はエンタメとして見に行くところあるから、ひたすら理論見せられても気持ちをのせて見られないならずっとポカンだよ。