「切なくて温度を感じさせられた映画」ユリゴコロ レインオさんの映画レビュー(感想・評価)
切なくて温度を感じさせられた映画
思ってたより重くて切なくて痛い映画。
人は誰でも他人に見せないところ・考えを持っているのだ。
その暗闇は多ければ多いほど、悪い結果を招くことも多くなる。
そのため、人は自分の居場所を探す。
そして愛を感じる瞬間、初めて人になる。
この過程は、ある人にとって短く、ある人にとって長いかもしれない。
人はそれぞれ。
その中、この映画は暗闇を多く持つ人に焦点を当て、初めて「愛」をプレゼンしている。
少しだけ見ても、監督も俳優もかなりの力を入れた一作だとよくわかる。
よくないとこ:
ノートに書いてある出来事と「今」という時間線が並行。
しかも「売春婦」も共通するキーワードだけどなかなか触れられなかった。前半はかなりの謎を残したのだが、結局その解決は意外と簡潔。
だから二つの時空間のストーリーはバランスが崩れてる。木村多江と松坂桃李のところの処理は少し雑。
逆に吉高の部分に随分引っかかる。
俳優さんの感情の高鳴りに少々遅れがあるような気がする。カメラの動きによって、ショットやシーンには異常な力が潜めている効果を十分出しているから、自分自身の深いところから出てくる「痛み」や「悲しみ」はただそんなもんじゃないはず。って思うが、俳優さんに限界もあるだろうしねー 随分いい演技を見せたと思うけど..観客としてはもっと感情を出せればもっと凄い作品になるはずだと思っちゃう。
また監督も、カメラワークやミザンセンによく工夫したが、売春婦のあたりに、脚本の方にもっと深く表現してもらいたいなー
良いところ:
カメラワームの力はすごい。バラエティー豊かなでありながら雑な処理は一ヶ所にもない。
俳優さんも凄い方々。
中年の美佐子にはちょっと違和感あるけど、キャスティングはまあいい!木村多江と吉高は本当に輪郭似ているなーと。
最後の病室シーン、青年時代の二人の画面にカットするところ結構感動した。
全体的に面白くて、とてもおすすめできる作品。