劇場公開日 2017年4月22日

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スウィート17モンスター : 映画評論・批評

2017年4月18日更新

2017年4月22日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほかにてロードショー

思春期特有のダメさ、イタさに大笑い!主人公を愛おしく思わずにはいられない

17歳のネイディーンは怒っている。なんで私ってこんなにイケてないの? 成績優秀、眉目秀麗なアニキのおかげで私の生きにくさハンパないし。唯一の理解者だったやさしいパパは天国に行っちゃうし。でも、天使みたいな親友のクリスタがいればなんとか耐えられた。なのになのに、クリスタまで私を裏切ってアニキとデキちゃうなんて! ありえない! みんなヒドイよ! 私にヒドすぎ!

そう、世の中は不公平。とくにコミュ障で混乱している17歳という生き物にとっては恨み、妬み、そねみの種が多すぎる。ネイディーンをネイディーンたらしめているのは疎外感と自己嫌悪、自己憐憫と怒り、そして世界とつながりたいという切なる願いだ。控えめに言っても、ネイディーンは青春映画史上、最も面白いキャラの1人だと思う。1人で空回りして自分をもてあまし、小さな世界でジタバタする彼女を見れば、誰もが「あれは私だ」と思わずにはいられない。それでいて彼女はユニークな存在だから、見ていてものすごく楽しい。そのダメさ、イタさに大笑いしながらチクッとした思春期特有の哀しみを心の片隅で懐かしく感じ、恥をかきながら成長していく姿を愛おしく思わずにはいられないだろう。17歳のこじらせ自己中ワールドは、ほとんどの大人にとって遠い過去なんかじゃないからだ。

この生き生きしたキャラクターを、鋭い洞察力とユーモアを込めて描き出したのは、ほぼ新人のケリー・フレモン・クレイグ。今回は脚本に加えて製作・監督までこなし、80年代にジョン・ヒューズが手がけた青春映画の瑞々しさを完璧にアップデート、一気に才能を開花させた。コメディとしての弾け方と琴線に触れるドラマとしてのリアリティ、このバランスが抜群なのだ。この才能に気づいて後押ししたのが、ウェス・アンダーソンキャメロン・クロウを発掘したジェームズ・L・ブルックスだというから、この人の目利き力には恐れ入る。そしてもちろん、このネイディーンをこれ以上ない的確さで、リアルにユニークに生きたヘイリー・スタンフェルド! この演技を見過ごすなんてアカデミー賞会員はどうかしている。

脇キャラとキャストも全員適役で讃えたいが、なかでもブルーナー先生役のウディ・ハレルソンは最高。感情剥き出しの17歳というモンスターに対してピタッと最適なさじ加減と距離感でリアクションするこんな先生に、17歳のとき会いたかった!

若林ゆり

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