「透明な声」夜明けの祈り ぷにゃぷにゃさんの映画レビュー(感想・評価)
透明な声
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つつましく清らかに生きてきた修道女たちに起きた衝撃の出来事。信仰と現実とのギャップに苦しみ、忘れようとしても辛い思いは消えない。それでも、神に捧げる彼女たちの歌声は、透き通った水のように美しい。
修道院の院長は、誤った選択をしたかもしれないが、彼女も傷ついており、それでも秩序を守ろうとしていた。だが、修道女だけで閉じこもっていてもどうにもならず、外部の人間を引き込むことで、事態は前に進むことになった。周囲の村人と交流し、みなし子らが遊び回り、笑顔で写真に収まる修道女たち…。明るく光溢れる修道院の片隅で、背を向ける院長が悲しい。
マチルドが迷いながら、時に頑なな修道女に手を焼きながら、見捨てなかったことが素晴らしい。ソ連兵に乱暴されそうになり、実際に経験した恐怖。本当に彼女たちの身に寄り添う気持ちになった。戦争は男の野性を膨張させ、女はただ耐えるしかない。そして、人間は愚かで、なぜだか戦うことをやめられない。こんなおぞましいことが、何度も起こることに暗澹たる気持ちになる。
ルー・ドゥ・ラージュは「世界にひとつの金メダル」で、障害飛越の馬の世話をする女の子役で見たのが初めてだったが、ほんとかわいい。好みのタイプ〜♥ 修道女たちはみんな同じ服装なので、個体識別が難しかったが、みんなマリア像のような、穏やかな優しい顔だった。冬の柔らかい光の中で、静謐な美しさをたたえていた。
BS松竹東急の放送を録画で鑑賞。
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