「静寂と映像美で綴る歴史の狭間の悲劇と希望」夜明けの祈り ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
静寂と映像美で綴る歴史の狭間の悲劇と希望
撮影監督のカロリーヌ・シャンプティエの映像がとにかく美しい。サイレント映画と思えるような静寂が印象的で、それも映像の美しさを際立たせている。
第2次大戦直後のポーランドの修道女に起きた悲劇を描いたこの作品は、ナチスに占領され、ソ連によって解放されたポーランドの戦後の悲劇を体現する存在として、解放軍であるソ連兵に望まぬ妊娠させられた修道女が描かれる。
物語は、敬虔なカトリック信者ゆえに妊娠の事実を隠そうとする修道女たちと、彼女たちを救おうと奮闘する主人公の医者との交流を中心としている。
厳粛な雰囲気の中、歴史の狭間で苦しめられた人々の鎮魂歌となるような、そんな映画だ。史実とは異なるエンディングを描いているが、未来への希望を持たせていて良い。
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