パターソンのレビュー・感想・評価
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アダム・ドライバーの低音ボイスが会話とは違う”間”で言葉を紡ぐ。詩の朗読がよい。
一言でいうとアダム・ドライバーが演じるバス・ドライバーの何気ない一週間の話。
本当にただの日常。トラブルも些細なこと。大きな伏線もない。
でも異常なほど心地よく見れる作品。
まるで極上アンビエントを聴いてるかのよう。好きです。
バスの乗客の世間話に耳をかたむけたりする。
普通の映画ならのちの大きな出来事の伏線になったりするモンだけど今作は違う。世間話はただの世間話。
毎日のルーティンな生活がほんの少し変わる。
同僚の愚痴が変わったり。でもそれだけ。
いつもの日常レベルの変化を描く心地よさ。
アダム・ドライバーは堅実な人間。
妻は色々と影響されやすいアートな性格。急にギターを買ったり、カップケーキで生計を立てると言い出したり。
芯の部分でズレてるのに不満はなさそうな夫婦。うーん、おもしろい。
アダム・ドライバーは本当にいい役者だなぁ。
自分のこと、大切な人のことでもなんか他人事みたいにしゃべる。
生粋のまわりに振り回されるオーラ。
見た目もしゃべり方もすんごい個性があるのにしっかりその作品の役になってるのが素晴らしい。
アダム・ドライバーが詩を書いてそれを朗読するシーンが幾度も挿入されるのだけど、それが本当に心地良い。
あの低音ボイスが会話とは違う”間”で言葉を紡ぐ。
詩はそれほど興味のなかったけどこの映画をみて”なるほど、そういうことか”とナニカがわかった気がする。
パターソンのパターソンさん
2回目の鑑賞
カラー版「ストレンジャー ザン パラダイス」
寝ちゃった、、、
帰省する映画作家
故郷に帰ってきたような感じがする映画がある。僕の場合は小津だったりヴェンダースだったり、ジャームッシュだったりだ。
公開年からして高校一年だったようだが、初めて映画雑誌を買った。たぶん「スクリーン」だ。巻頭カラーにはブラットパックがひしめいていて、トム・クルーズがビリヤードをやったり、クリストファー・トーマス・ハウエルが顔を黒く塗ってバスケをやったりしていた(思えばアレはいまなら公開できないんじゃないだろうか)そんな紙面の中頃に、映画評論家の投票によるその年のランキングがあって「ストレンジャー・ザン・パラダイス」が1位、「ダウン・バイ・ロー」がベストテン内にあって、なんだこの映画は? 1位なのになぜ他に記事がないんだ?と疑問に思い、新潟はカミーノ古町のいまはなき映画館で見て、こんな映画がアリなんだ、と衝撃を受けたのだった。
当時はストレンジャーが比較級だってことも、ローが法律だってことにも気づいてなかったけれど、いま思い返すとあれが原体験だったのかもなあ、なんて中年のおっさんは感慨にひたる。
例によってジャームッシュとは、「コーヒー・アンド・シガレッツ」以来二十数年ぶりだ。すっかりご無沙汰していても変わらずに歓迎してもらったような感じがした。やっぱりホームタウンはいいものだ
パッと見はシンプルな生活だけど 観てる側が主人公の気持ちを 読み取...
パッと見はシンプルな生活だけど
観てる側が主人公の気持ちを
読み取りやすくなってて
とっても深みのある映画だと感じました!
セリフが少ないからこそ
きっと今こう思ってるんだろうなって
たくさん想像がふくらみました!
ワンちゃんもポイントになってて面白かったです
移動時間は音楽を聴くことが多いけど
たまには何もせずそっと耳をすますと
色々と発見があるかも。。
繰り返しの毎日のようで全く同じ日はない!
1日1日を大事にね。
パターソンという町に住むパターソンという名前のバス運転手の1週間をたんたんと描いた話。
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ジム・ジャームッシュの作品だから、当然派手なことは起こらない。ほんとうにある男の1週間の様子を描いただけ。奥さんと目覚めて(時には1人で)、バスの運転をして、詩を書いて、夜には犬の散歩がてらBARに行く。
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BARのマスターが客の女に気を取られて全く相手にしてくれない日もあるし、奥さんが作った謎の昼ごはんが美味しくなかったり、毎日少しずつ色んなことが起こる。
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これって私たちの日常そのもの。毎日一緒のようで違う。ちょっと嫌なことがあったり、ちょっと良いことがあったり。毎日が繰り返しなんて思わず大事に生きていこうと思った。
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この映画の最後に、「詩の翻訳はレインコートを着たままシャワーを浴びるようなもの」って言うセリフが出てくるんだけど、その瞬間今まで劇中で出てきた詩の字幕を必死に呼んでた時間はなんだったんだと思ったね(笑).
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だから字幕は無視して英語の韻とかに注目してみるのが良いかな〜
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大人が描いた大人
Patersonはじぶんとおなじ名前の街Paterson, New Jerseyでバスの運転手をしている。そこは有名な詩人William Carlos Williamsの故郷であり、Patersonも詩作をする。
Patersonは日常から刺戟をもらう。つれ合いのローラは自己完結している。勝手に幸福になっていてくれる魅力的なひとである。翻弄されるが、心地よい翻弄といえる。奔放だがPatersonの感情に無頓着なわけではない。
バスの運転手の日常は単調である。乗客の会話に耳をすますこともある。操車場の近くで、女の子が一人でいるのを見かけ、自作の詩を聞かせてもらう。韻は踏んでないという少女。その方が好きだとPatersonは伝える。
過介入はしないが傍観者でもない。バスの運行トラブルで乗客を誘導し冷静に対処する。ローラの飼い犬マーヴィンには敵対視されているが、散歩に連れ出しバーで一杯やる。失恋男から果敢に銃を取り上げる。
それらの途中にPaterson作の詩が挿入される。
語り口はリアルでもコミカルでもない。坦坦とかオフビートとは言えるが、anticlimaxが妥当と思う。皆、穏やかな人々である。
William Carlos Williamsを探求して米国を訪れている日本人の詩人──という役回りで永瀬正敏が出演している。瀑布の見えるすがすがしい公園でPatersonと詩について語り合う。
理知的だが、uh huhに不可解な抑揚をもつ男である。彼は「私の書く詩は日本語だけでね、英訳はしてないんだ」とことわって、Poetry in translation is like —taking a shower with a raincoat on.と見解をのべる。
明解な結論はなかったと思う。あるのかもしれないが、解らなかった。
たとえここに描かれている寓意が解らなくても、映画に、日本にはない大人度を見ることができる。それは、やみくもに羨ましくなるたぐいの大人度だ。
どうでもいい話だが、このような映画を見たときに、脈略もなく日本映画と比較して、日本映画批判がしたくなる。
そんな牽強付会をしたくなる以上、わたしにも大人度なんて言える大人らしさはない。だからよけい羨ましい──のだろう。外国映画と日本映画を比較する必要はない。すなわち比較するのは雨合羽を着てシャワー浴びるようなこと──かもしれない。
デイリーニュース
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