「詩人は、名乗ろうが名乗らかろうが詩人である」パターソン 猫柴さんの映画レビュー(感想・評価)
詩人は、名乗ろうが名乗らかろうが詩人である
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久しぶりに心を鷲掴みにされました。
パターソン市に住むパターソン氏
バスの運転手で詩人。
彼の1週間を淡々と描いた映画
恋人と小さなベッドで迎える朝
詩をなんども繰り返し推敲し小さな秘密のノートにかきとめ
同じ路線を一日中ぐるぐるとバスで周り
乗客の会話に耳を傾けて微笑む
繰り返すルーティン
静かな日々の中で恋人への愛を綴り
街中の名もなき詩人達に敬意を払う
風変わりな恋人
不満ばかりを口にする上司
懐かない犬
全てを受け入れるパターソン
なんてことない一コマから美しい詩を生み出し
誰にも聞かせず、自分を詩人と言うかどうかも
曖昧。
静かで地味な街
パターソンは自分そのもの。
だけれど
そこから生まれた偉人もいるし
そこを目指して遠くからくる人もいる。
パターソン自身もまた、
誰かにとってはなんてことない平凡そのものであり
また、他の誰かにとってはかけがえのないものである。
恋人が誰から観てもアーティストなのに
自分ではカントリー歌手やカップケーキ職人を目指す人であるように
誰も自分の事はわからないし、
自分を決めるのは自分
詩人は、詩人である。
自分で名乗ろうか名乗らかろうが
それは溢れてくるものだから。
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