「永遠不滅」パターソン Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
永遠不滅
パターソンはバスのドライバー。同じドライバーでも、「タクシードライバー」のトラヴィスは、民主主義の理想と現実の狭間で、「腐敗しきったこの街を俺が浄化してやる」と決意した。
イギー・ポップは放蕩三昧に生き延び、次の世代の反逆児ロックスターの手本となった。
スマホの父、スティーブ・ジョブズによって、アメリカン・クールはついに消費至上主義のロジックにまみれてしまった。
そこで、ジム・ジャームッシュは自分の撮る映画を不滅にすることで、私たち市井の人々の営みを永遠不滅の価値あるものにしてくれた。
反復はそれぞれ独立して存在しているのではなく、互いに連鎖をなして支えあっている。それゆえ一連の創造と芸術は一連の反復によって生まれるのかもしれない。
小さなマッチ箱、バスのお客さんのおしゃべり、あちこちで出てくる双子のイメージから、そんなことを感じた。
そして。魂の回復は見ず知らずの他者との共有のなかにあると気づかせてくれた。
余韻がハンパないチャーミングな名作。
コメントする