「「我が家にはたくさんのマッチがある」とノートに書く」パターソン そんぼさんの映画レビュー(感想・評価)
「我が家にはたくさんのマッチがある」とノートに書く
「我が家にはたくさんのマッチがある」
物語はそこからはじまる。なんども繰り返されるセンテンス。
そしてどこかざらざらしたありふれた映像がつづく。
ジム・ジャームッシュの独特な映像。
バスの運転手はマッチがすきでそれについて詩をつづっている。意味はない。マッチはマッチでしかない。ブリテッシュがフレンチ・ブルドッグじゃないのと似ている。
どちらも自分以外のものになれない。
ときどきすれ違うふたごも同じだ。
毎朝、彼女といっしょのベッドで目が覚めわずかな会話をしてバスを運転する。エピソードのように乗客のなにげない話を挿入する。
それが毎日曜日が変わってもおなじだ。そして1日の終わりにブルと散歩し薄暗い古いバーに寄ってビールを飲む。
ふうん、どうってないけど、感じの良い映像がただつづく。
つまり彼の映画は、自分の特別な時間にしかとどいてこない。いつも繰り返して観たいと思う映画じゃない。なにかが欲しい目的で観る映画じゃない。
その意味でも独特だと思う。
だれの映画とも似ていない。
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