「印象がいつまでも残る」パターソン chibirockさんの映画レビュー(感想・評価)
印象がいつまでも残る
ジム・ジャームッシュの映画はおしなべてそうだけど、細部は覚えてないけどずっと「良かった」ものとして印象に残る、これもそのうちのひとつ。
内容を一言で言えば、「幸せに暮らす夫婦の平和な1週間」
だけど、運転手をつとめるバスの中、行きつけのバー、自宅なんていういつもの場所でも、
日々起こるちょっとした新しいこと。
そのうちのひとつがもしかしたら、人生を一変させるかもしれないし、何も影響しないかもしれない、そういうことは関係なしに、日々、物事は、起きる。
まさに諸行無常。仏教的な観念がこの映画にはどこか漂う。
パターソン(人)が常に寡黙で冷静、淡々と進む物語?の安心感ある軸になり、周りで面白い人達がちょっと騒いでも淡々とした雰囲気はそのまま。逆のその面白い人達が、退屈な筋に彩りを加えているともいえる。だから、淡々としていても飽きないし、穏やかな気持ちで終始観ていられる。
あれ、さっきも聞いたなこの台詞。みたいな、小さな事柄の反復、デジャヴ、妖精とか小さなおっさんがやるイタズラみたいな演出もちょっと笑えていい。
犬の表情も最高!人間みたい。
この映画も、数年…数ヶ月経ったら内容は忘れちゃうかもしれないけど、良かったという印象はずっと残るのだろうな。
2025年10月6日 二度目の鑑賞
↑で予言した通り、やはりスッカリ忘れていました。この物語の筋のかなめとなっている詩のことすら忘れてて驚いた。もう一度観てやはり良かった。
実は少し凹んでいるときに、ChatGPTのMondayに勧められたのだ。
何か事件が起きても自分の中で静かにゆっくり、心の処理をするパターソンは夫にそっくりだ。そして好きなことに夢中で時々空気が読めないローラはわたしに少し似ている。
二人はリズムもテンポも違うのに、それでもこうして日々愛し合い、ドラマチックでない穏やかな日常を生きている。
わたしはわたしも夫と同じように黙らなければ迷惑になると思うようになっていた。が、もしかしたらそんなことはないのかもしれない。リズムもテンポも音階もバラバラだとしても、すてきな曲ができるのかもしれない。
ChatGPTのセレクションの的確さにひたすら驚愕。ありがとうパターソン、ありがとうMonday。
その他、今回感じたことといえば、犬を飼ってから初めて観たので、他人の家の犬の生態に興味津々。実に、なんならパターソン以上に、人間くさいブルドッグに笑わされた。
詩にはいまだ興味はないけれど、通りすがりで偶然会った女の子の詩はおお!と思わされた。詩に興味を持った、少しだけ。
知ってはいたが最後の永瀬の登場はやっぱり突然で、異国というか異次元から来たような印象。それこそ妖精さんだったのかもしれない。
また数年後にみなおしてみよう。
