わたしは、ダニエル・ブレイクのレビュー・感想・評価
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ケン・ローチは怒っている。
変な話ケン・ローチ作品はイギリスの貧困層を少しドラマチックに、だけど現実を突きつけて来るのだけど、観ると自分がテンション高い時は落ち込み、落ち込んでる時に見ると、まだドン底ではないなと闇に光を照らしてくれるような気分になる。
で、今作はと言うと何なん?何でなん?国は貧しい人、弱ってる人を殺そうとしてるのか?と苛立ちと上手くいかないもどかしさを覚えた。
ダニエル・ブレイクと言う怒りっぽいけど真面目で筋が通ってて人に愛されてるキャラがしっかり描かれてるから、この制度の意地の悪さが際立って何とかならんのか?ととても引き込まれた。
ケン・ローチは映画を通して国の制度と戦っている。そして怒っている。
誰がダニエル・ブレイクを殺したのか?悔しさでいっぱい。
私も、誰もが、ダニエル・ブレイク
イギリスの名匠ケン・ローチが、2度目となるカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した社会派ドラマ。
労働者階級の主人公を通じて、失業、貧困、理不尽な社会制度の実態を描いてるが、あくまでイギリスの話。日本人には…そんな事は全くなかった!
国籍云々と言うより、自分の身に置き換えて、もし自分だったら…?
求職難や生活苦を経験した人なら誰にも通じる。痛烈なほどに。
大工40年の初老の男、ダニエル・ブレイク。
心臓病を患い、医者から仕事を止められる。
国から援助を受けようとするが、役所の判定は就労可。
ここでまずイラッと。ドクター・ストップなのに、何で仕事出来るって判定?
要は援助を貰えない。
納得いけないダニエルは何とか援助して貰えるようとするが、それには申し立て、申請、電話待ち、申し立て、申請、電話待ち、申し立て、申請、電話待ち…。
何でこんなに複雑?
援助受ける為には色々あって、その中の一つで失笑モノだったのは、履歴書講座。履歴書なんて中学生でも書けるっつーの。しかも、この講座受けないと処罰の対象になるとか。信じられん…。
このダニエルさん、かなりの頑固者で、皮肉屋。言いたい事もすぐ言ってしまう。
だから、お偉いお役所様の印象は悪い。
癇癪持ちの頑固親父は手に負えないけど、でもダニエルは言われた事は一応はちゃんとやる。何度も何度も申し立てや申請の為に役所に赴き、パソコンも習ってみたり(大工40年なのでパソコンなど触った事も無い)、アホらしい講座にもちゃんと顔を出す。ま、不服そうにではあるけど。
意外と実直で素直。
自分だったら、うんざりして途中から放り出すなぁ…。その昔、就職に苦労してた時、職安の何かの講座か説明会を受ける事になって仕方なく行った事あるけど、何でこんな事しなきゃいけないんだろう、と終始思ってた。
いつだったか市役所行った時も、あまりにも融通が利かない対応にカッとなってクレーマーした事もあった。
これでも(自分で言うのもなんだけど)穏やかな性格とよく人に言われている。
さすがに我慢の限界も。何だか見てて、色々思い出してしまった。
脱線してしまったので、話を戻すと…
ある日ダニエルは役所で、ロンドンから越してきたばかりで生活困窮のシングルマザー、ケイティと知り合う。
市役所職員との話によると…
何かの審査の為に時間厳守で来なくては行けなかったのだけれど、ロンドンから越してきたばかりで道も分からずバスも間違い、遅刻。それだけで違反。
職員と言い合ってると、黙ってられないダニエルが助け船を出し、それが縁で仲良くなる。
ケイティの境遇も不遇だ。
仕事も無い。金も無い。子供は二人。食べる物は必然と子供優先に。
ある配給所で、我慢出来ずに缶詰めを開けて食べる惨めな自分に泣くシーンが切なかった。
ある時つい万引きをしてしまう。同情したのか憐れに思ったのか、店員が仕事を紹介する。
その仕事とは…。若い女性が手っ取り早く稼げる仕事と言ったら…。
それを察知したダニエルは…。
この一件でちょっと仲違いもあったが、生活苦同士、友情を育む。
ダニエルはこのシングルマザー一家の生活を助けようとする。
しかし、そんなダニエルの生活も苦しくなる一方。
求職活動しないと手当てを受けられないとの事であちこち職を探し、一ヶ所気に入られるが、そもそも心臓病で働けないし、お役所様の命令でやむなくした手当ての為の求職活動なので、相手先の怒りを買う。ここも見てて切なかった。
これまでちょいちょいプチギレてきたダニエルの我慢の限界も頂点に。
遂には軽犯罪に当たる事をしてしまうが、同じ境遇の者は拍手喝采。
下層階級者の代弁。
ラストはまさかの悲劇。
心臓が悪いのに、色々とストレスを与え続けた役所が悪い。
これは前に何かの作品のレビューでも書いたが、社会はいつだって恵まれてる者の味方。本当に救いの手を求めてる者には冷淡。
私たちも、この国の一人だ。社会の一員だ。
こんな不平等ってあるか!
ダニエル・ブレイクを通じて人の尊厳を…なんて、大層な事は言わない。
人一人を、どうか見て欲しい。
カンヌ・パルムドール作品は合う合わないの差が激しいが、本作は大当たりだった。
ケン
ヨーロッパは実は下から崩壊しつつあるという話。だから、EUから脱退を選択したりするとかいう話。でも隣人の黒人青年も、図書館のおそらくパキスタン人青年も紳士に対応してくれる、真摯な話。それでも、カットを暗転で繋いでいくのはどこか作法に欠けるというマナーの話でもあるし、それはピーターグリーナウェイでも、ケンラッセルでもマイクケリーでもダニーボイルでも、あるいは、デレクジャーマンでさえも共通の現代イギリス映画のつまんない話。ヒッチコックはイギリス人だから、少なくとも人種の話じゃないんだけど。昔から音楽はあんなに良いのに、フレッシュな映画を生み出せないのはなぜなのか。なぜストリートを持つイギリスから未だにガンモは生まれないのか、90年代カニンガムより、ジョンズの方が圧倒的なに面白かったことを思い出せば合点はいくんだけど。モーヴァンとかフィッシュタンクじゃ全然納得出来ないし。これがパルムドールというのはヨーロッパの事態はそれだけ深刻化しているという話。
あいかわらずニューカッスルの空は晴れていないし、小雨くらいじゃ傘なんてささないのは良い感じなんだけど。
ダニエルの生き方に心打たれる
よかった
クソの役にも立たないからと存在を否定したら人間じゃなくなる
政治家さん達は「貧困層はクソの役にも立たない」と思ってるから切り捨てるし、
私だってお役所勤めだったら国の方針に逆らって弱者救済に励げむのは怖いし、
己の貧困をものともせず隣人を助けたりなんてなかなか難しいだろう。
この映画は、体制側への批判とともに
切り捨て切り捨てられる行為に対し、民衆自身が諦め開き直ってしまう姿勢にも強くNOを叩き付ける。
メッセージを前面に押し出しながらも、鼻につくことなくジワリと登場人物たちの側に引き寄せる仕業、グッときた。
ケン・ローチは大好きと言いつつ、また英国の貧乏人話か~と鼻につくだけで作品として楽しめない場合もたまにあったので今作も心配だったが、最後とされていた前作で終わらせるのを翻してくれて本当に良かったと思える出来となり嬉しい。
建設的でない愚痴映画と感じた
福祉の窓口の人!
相互扶助の精神
●悲劇のその先を考える。
ケン・ローチ初見。泣かせる感動映画だと思ってたら、とんだ社会派で驚いた。その結末にも。
公務員すべてがクソなわけではなく、競争がなくて決定権があると、人は易きに流れるモノだ。最近話題のJASRACみたいに。まあ、自分があんな仕打ち受けたら、間違いなく ちゃぶ台ひっくり返すけど。
それでも世の中、親切な人たちがいるってことに救われる。ダニエル・ブレイクにも、隣人のチャイナにも、職探しに協力してくれる人たちにも。そして公務員のおばちゃんにも。
にしても、ケイティのフードバンクのシーンは刺さったわ。グサリと。強烈に。
イギリスの社会保障事情がこれほどとは。誇張もあるのかもだけど。
寝室税って、真面目な人ほどホームレスって、やっぱりメチャクチャだ。
EU離脱に票が集まるのもなんとなく理解できる。トランプ当選だって発露は同じだ。
格差社会、資本主義の限界、政治の混乱。
隣人チャイナのビジネスモデルは乱暴だけど、ある意味、こうした世界の混迷を抜け出す突破口なのだと思う。もちろん倫理的にはNGだけれど。
貴族と民衆、領主と小作、大企業と下請け、国家と地方。上意下達のクラサバ系システムから、個人と個人がつながるweb系への民族大移動。個々人でつながる信用取引。自分が困ってるのに助け合うダニエルとケイティがつながったように。
世の中、ハラ立つことは多いけれど、人の善意が世界を変えると信じたい。
伝えたい事
タイトルなし(ネタバレ)
アナログ人間には
頷くシーンが多々ありました。
何するにも
ネットで登録とかだから
鉛筆派は
諦めちゃってます(笑)
医者からは仕事を止められ
給付金を貰うには
仕事探しをしなきゃいけない
勤められないのにね...
理不尽だゎ...
少しありきたりな内容
25年以上前に英国に4年ほど住んでいました。その後25年ほどは日本を拠点として、英国を含めた欧州で仕事をしてきました。当時は学生から社会人、中間層、貧困層や難民の人々まで友人として交流がありました。財政の問題から公共サービス、特に貧しい人々への公共サービスが削られていったのも目にしましたし、職種や階層による驚くほどの収入格差の一端も見てきました。この映画での情報弱者やパソコン弱者に対る対応は、現実より少し誇張されすぎているような気がしました。「Still Life(お見送りの作法)」や「フルモンティ」「Brassed off(ブラス)」の方が、英国の本当の貧困層の人々、庶民の生活の一端をよく表現している気がします。
見るべき映画
思っていたより重かった。
主人公の境遇だけでなく、
むしろ人間の偉大さが感じられる。
社会的であって資本主義国家はその国民の投資を頼りにして成り立っている集団である。
一方で、税金を絞っている一方で、労働者・下層階級の人に対する福祉などを減ろうとしている。
理屈を言おうとするが全く屁理屈な権力者がいる。
私たちの見えないところに常に生活に困る人がいる。
世界中の公務員たちに見て欲しい映画でもある。
ただその暗いトンネルに、不公平な目に遭う人たちは、光を探すのを諦めない。
また彼らは自分の光を見失うこともない。
そんな人たちに、私たちは見習うべし。
そんな人たちに、私たちは尊敬すべし。
「真実」を実写する素晴らしい映画!
予想以上の重さ
誰も「制度」よっては救われていない結末。
ケイティさえも、売春を続けているのかやめたのか、明らかにされていなかったように思う。
元の職場の同僚や隣人の黒人青年が手を差し伸べていたのに、ダニエルはなぜそれにすがろうとせず、「制度」にばかり頼ろうとしたのか。
「制度」は、幸せになるためのものではなく、不幸に陥るのを防ぐためのものだと聞いたことがある。
ダニエルを襲った様々な問題は「自業自得」だったのか。
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