わたしは、ダニエル・ブレイクのレビュー・感想・評価
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ケン
ヨーロッパは実は下から崩壊しつつあるという話。だから、EUから脱退を選択したりするとかいう話。でも隣人の黒人青年も、図書館のおそらくパキスタン人青年も紳士に対応してくれる、真摯な話。それでも、カットを暗転で繋いでいくのはどこか作法に欠けるというマナーの話でもあるし、それはピーターグリーナウェイでも、ケンラッセルでもマイクケリーでもダニーボイルでも、あるいは、デレクジャーマンでさえも共通の現代イギリス映画のつまんない話。ヒッチコックはイギリス人だから、少なくとも人種の話じゃないんだけど。昔から音楽はあんなに良いのに、フレッシュな映画を生み出せないのはなぜなのか。なぜストリートを持つイギリスから未だにガンモは生まれないのか、90年代カニンガムより、ジョンズの方が圧倒的なに面白かったことを思い出せば合点はいくんだけど。モーヴァンとかフィッシュタンクじゃ全然納得出来ないし。これがパルムドールというのはヨーロッパの事態はそれだけ深刻化しているという話。
あいかわらずニューカッスルの空は晴れていないし、小雨くらいじゃ傘なんてささないのは良い感じなんだけど。
痛烈なメッセージは充分伝わってきましたが、少しでいいから規則や規律...
痛烈なメッセージは充分伝わってきましたが、少しでいいから規則や規律を重視する重要性が描かれてば良かったと思います。泣きましたけど。
ダニエルの生き方に心打たれる
音楽や派手な演出で盛り上げることをせず、淡々と人間を描いている。貧困に直面しながらも、権力に盾突き、隣人の力になろうとするダニエルの実直さに胸が熱くなる。
ダニエルの隣に住む若者のセリフが印象的だった。「役所は何もしてくれない。俺たちを惨めな気持ちにさせてくれるだけだ」
よかった
はじめは、とてもメッセージ性が強く、小難しい映画で自分には合わないかと思っていたが観終わって全くそんなことはなかった。
役所のたらい回しや一部の人を切り捨てるかの様なオンライン化などみんなが一度は感じた不満をリアルに描いていて、とても共感出来た。
その一方で主人公やその周りの人たちなど他人に手を差し伸べられる様な優しい人達が色んな所にいて、生きてて嫌な事や辛い事は山の様にあるけどこの世の中も捨てたもんじゃないなと観終わった後しみじみ感じた作品でした。
クソの役にも立たないからと存在を否定したら人間じゃなくなる
政治家さん達は「貧困層はクソの役にも立たない」と思ってるから切り捨てるし、
私だってお役所勤めだったら国の方針に逆らって弱者救済に励げむのは怖いし、
己の貧困をものともせず隣人を助けたりなんてなかなか難しいだろう。
この映画は、体制側への批判とともに
切り捨て切り捨てられる行為に対し、民衆自身が諦め開き直ってしまう姿勢にも強くNOを叩き付ける。
メッセージを前面に押し出しながらも、鼻につくことなくジワリと登場人物たちの側に引き寄せる仕業、グッときた。
ケン・ローチは大好きと言いつつ、また英国の貧乏人話か~と鼻につくだけで作品として楽しめない場合もたまにあったので今作も心配だったが、最後とされていた前作で終わらせるのを翻してくれて本当に良かったと思える出来となり嬉しい。
建設的でない愚痴映画と感じた
社会的弱者が権力(市政)から必要なサポートを得られず、困ったちゃんにされる主人公たち。
それに対して、主人公は徹底的に困ったちゃんになることで反抗する。具体的には業務妨害的なこと。
弱者がまっとうには戦えない強者に対抗する手段の1つがテロリズムだとしたら、それに近似したものだ。
ただ、権力側にも事情があるはずだ。
その面が描かれず、ただ、弱者を守るべき という共感を得やすい立場から愚痴をぶちまけている映画に見えて後味がよくなかった。
もう少し建設的な未来を見せてほしいと思った。
個人的には、ベーシック・インカム について真剣に考える国家が誕生してきた背景が見えた気がした。
福祉の窓口の人!
この映画と同じようなことは、毎日、私の住む街の区役所の福祉の窓口でもいつも起こってる。ついさっきも区役所で同じような場面を見かけたなあ、というシーンの連続で身につまされる。テーマは「貧困対策と社会保障制度の矛盾」。でもこの映画がお説教臭くならないのは、主人公がチャーミングでいつもユーモアを忘れないから。福祉関係に限らず、相談援助のお仕事についている方々に是非見てほしい作品です。
相互扶助の精神
自分も困っているのに、周りで困っている人にも手を差し伸べてしまう主人公の姿が素晴らしい。人は助け合って生きていく…相互扶助の精神がこの作品を通じて世界中に広がって欲しい。またキャストの演技も素晴らしく、最後までスクリーンに吸い込まれていました。
2017-61
●悲劇のその先を考える。
ケン・ローチ初見。泣かせる感動映画だと思ってたら、とんだ社会派で驚いた。その結末にも。
公務員すべてがクソなわけではなく、競争がなくて決定権があると、人は易きに流れるモノだ。最近話題のJASRACみたいに。まあ、自分があんな仕打ち受けたら、間違いなく ちゃぶ台ひっくり返すけど。
それでも世の中、親切な人たちがいるってことに救われる。ダニエル・ブレイクにも、隣人のチャイナにも、職探しに協力してくれる人たちにも。そして公務員のおばちゃんにも。
にしても、ケイティのフードバンクのシーンは刺さったわ。グサリと。強烈に。
イギリスの社会保障事情がこれほどとは。誇張もあるのかもだけど。
寝室税って、真面目な人ほどホームレスって、やっぱりメチャクチャだ。
EU離脱に票が集まるのもなんとなく理解できる。トランプ当選だって発露は同じだ。
格差社会、資本主義の限界、政治の混乱。
隣人チャイナのビジネスモデルは乱暴だけど、ある意味、こうした世界の混迷を抜け出す突破口なのだと思う。もちろん倫理的にはNGだけれど。
貴族と民衆、領主と小作、大企業と下請け、国家と地方。上意下達のクラサバ系システムから、個人と個人がつながるweb系への民族大移動。個々人でつながる信用取引。自分が困ってるのに助け合うダニエルとケイティがつながったように。
世の中、ハラ立つことは多いけれど、人の善意が世界を変えると信じたい。
伝えたい事
テーマが自分自身の隣に潜んでいるテーマで深く考えさせられた。貧困女子を多く知っているし次は私かもしれないという立ち位置にいると見てて辛いが向き合わなければいけない問題。引退を撤回してでも作ってくれた事に感謝。
アナログ人間には 頷くシーンが多々ありました。 何するにも ネット...
アナログ人間には
頷くシーンが多々ありました。
何するにも
ネットで登録とかだから
鉛筆派は
諦めちゃってます(笑)
医者からは仕事を止められ
給付金を貰うには
仕事探しをしなきゃいけない
勤められないのにね...
理不尽だゎ...
少しありきたりな内容
25年以上前に英国に4年ほど住んでいました。その後25年ほどは日本を拠点として、英国を含めた欧州で仕事をしてきました。当時は学生から社会人、中間層、貧困層や難民の人々まで友人として交流がありました。財政の問題から公共サービス、特に貧しい人々への公共サービスが削られていったのも目にしましたし、職種や階層による驚くほどの収入格差の一端も見てきました。この映画での情報弱者やパソコン弱者に対る対応は、現実より少し誇張されすぎているような気がしました。「Still Life(お見送りの作法)」や「フルモンティ」「Brassed off(ブラス)」の方が、英国の本当の貧困層の人々、庶民の生活の一端をよく表現している気がします。
見るべき映画
思っていたより重かった。
主人公の境遇だけでなく、
むしろ人間の偉大さが感じられる。
社会的であって資本主義国家はその国民の投資を頼りにして成り立っている集団である。
一方で、税金を絞っている一方で、労働者・下層階級の人に対する福祉などを減ろうとしている。
理屈を言おうとするが全く屁理屈な権力者がいる。
私たちの見えないところに常に生活に困る人がいる。
世界中の公務員たちに見て欲しい映画でもある。
ただその暗いトンネルに、不公平な目に遭う人たちは、光を探すのを諦めない。
また彼らは自分の光を見失うこともない。
そんな人たちに、私たちは見習うべし。
そんな人たちに、私たちは尊敬すべし。
「真実」を実写する素晴らしい映画!
予想以上の重さ
誰も「制度」よっては救われていない結末。
ケイティさえも、売春を続けているのかやめたのか、明らかにされていなかったように思う。
元の職場の同僚や隣人の黒人青年が手を差し伸べていたのに、ダニエルはなぜそれにすがろうとせず、「制度」にばかり頼ろうとしたのか。
「制度」は、幸せになるためのものではなく、不幸に陥るのを防ぐためのものだと聞いたことがある。
ダニエルを襲った様々な問題は「自業自得」だったのか。
市民を追い詰める役人
主人公Danielの正直な堅物ぶりは「幸せなひとりぼっち」のOveを若干思い出させましたが、Danielの場合、困っているシングルマザーの家庭を自ら進んで助けます。音楽鑑賞はラジカセとカセットテープ、パソコンはさっぱりだけれど、大工歴40年のアナログおじさん。愛する妻を働きながら介護して看取り、真っ当に生きている善良な市民そのものです。彼が心臓発作で仕事が出来なくなり、支給申請のため役所を訪れます。
真面目に税金を納めてきた市民を救えない行政とは何なのか。思考が麻痺してプロトコールに沿うことしか出来ず、全く融通の効かないお役所仕事、助けを求める市民をたらい回し拒絶するためにいるような役人達。市民が反論しようものなら、まるで犯罪者扱い。Danielがやかましく注意する生ゴミや犬のフンの始末といった守るべき近隣マナーとは、全く趣旨の異なる規則でがんじがらめです。
問題は救うべき人が多すぎること、そして援助の程度を客観的にケースバイケースで判断するには時間がかかること。不正を企てる市民が紛れていることも事実であり、時に厳しい目線が向けられてしまい、助けるべき人に行き届かないこと。
医師の意見書や診断書で一発解決とはいかないようで、日本より厳しいと思いました。
非情な役人達の態度に、怒りを通り越して呆れるばかりですが、行政が手を差し伸べるべきことを、隣人や友人達で助け合い、補い合っている所に救いがあります。
空腹で思わず缶を開けて素手で食べてしまったり、やむなく万引きをしたり、八方塞がりで堕ちていくシングルマザーの姿に涙が堪えられませんでした。一方でDanielは最期まで自分らしく生きて尊厳を保ちました。決して他人事ではありません。公務員は勿論、多くの人に観てもらいたいです。。。
"When you lose your self-respect, you're done for."
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