わたしは、ダニエル・ブレイクのレビュー・感想・評価
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効率性向上だけが社会の進歩ですか?
TV放送を録画して今年2度目の鑑賞。
前回心打たれたシーンの連続が
全く同じように私を感動に導く。
主に2家族の厳しい現状を淡々と描く
映画だが、何故か画面から目が離せない。
特に、母親が空腹から配給を待ちきれず
食料を貪り食ってしまうシーンや
子供達に食料を与えるために身を売るシーン
は涙なくしては正視できない。
栄光の大英帝国時代からは隔絶の感のある
現代のイギリスだが、
「リトル・ダンサー」など自らの格差社会の
厳しい現状を赤裸々に描く映画を制作し
提供出来るイギリスの文化と社会性に敬意
を表したい。
真面目に納税義務を果たしてきた主人公が、
その人生の晩年に、
多少のデフォルメはあったとしても、
複雑に張り巡らされた行政システムに翻弄
され命を絶たれるラストシーンが辛いが、
彼がその周囲に蒔いた希望の種
が感じられるからこそ、
何故か心地良く鑑賞を終えられる素晴らしい
作品だ。
それにしても、“効率向上=社会の進歩”
なのだろうか。
この映画を評価しない方の中には、
ITなど時代の技術への学びや対応に
努力しない人は社会に切り捨てられても
やむを得ないのでは、との論調がある。
しかし、
残念ながら人間は急には変われない、
特に高齢者は対応が難しい。
瞬時に変われるのは機械やITなどの
血の通わない世界だ。
効率だけを優先するのだったら
人間そのものを機械やロボットに
置き換えた方が良いわけで、
その結果がターミネーターの世界だろう。
そんな考え方で、
果たして人類に未来はあるのだろうか。
我々は改めて
“効率性は犠牲した上での人間社会の進歩”
というものを考えるべきでは?
このイギリスの格差社会の現実、
それは明日の日本を、
そして未来の人類を映す鏡なのかも知れない
と思った。
勉強になります
エンタメ系の作品ではないけど、世界では何が起きているのかを知り、社会を告発していく風刺作品は必要。
チョコレートドーナツとかグリーンブックとかスポットライトとか、世の中には自分が経験していないような差別や社会問題があって、その作品を見るまでは身につまされることがなかった事実を学べ、社会を動かしていく力のある作品をいくつも見てきました。
果たして、この作品の上映後はイギリスの役所の対応は良くなったんだろうか、福祉の手続きのあり方に一石を投じることができただろうか…。
大体、パソコン作業に支障がなくて、軽作業でもできる体力があるなら、そこまでお金に困ることはないのでは。
ダニエルの生真面目さ、愚直さ、頑固さが見ていてつらかった。
ケン・ローチ監督の思い
日々窓口で、訪れる人々の相談に応じている職員の方々は、個人的感情を抑えて対応する必要が有り、大変な事も多いだろうと思います。
その一方で、本当に必要とする人に救済の手を差し伸べる国であり、行政であって欲しいと改めて感じる作品でした。
新しく仕事を始めたケイティの仕事先に、ダニエルが訪れた場面で涙が溢れました。
ラストの展開は、ケン・ローチ監督の「今可能な最善の対応を!」( 場合によっては手遅れになってしまう )とのメッセージなのかも知れません。
ダニエルとケイティに対する周囲の人々のちょっとした優しさに救われる場面も。
日テレを録画にて鑑賞
イライラする
■好きなところ
反面教師になる。
世の中のルールを知ろうとしない人には、何を言っても頭に入らない。質問する側も、伝える言葉が多分見つからない。だからこうなると思う。
■嫌いなところ
その、質問する、申し立てをする側の人間の、上手くゆかないという演出が、今一つ伝わってこなかった。
あと、エンターテイメントではなかった。泣かせるか笑わせるかしてほしかった。
■ほか
本来なら、ダニエルの場合は、役所の総合窓口に出向き、その上で生活保護申請が適正となるのでは。さすがにそこは手当てされるはず。
役所の前例踏襲主義や、たらい回しは問題。
時代がガラケー時代の話と考えられるので、今は昔の話といったところか。今もこれなら大炎上間違いなし。
ダニエル
ダニエルの作った木製の魚のモビールが素敵だった。根っからのアナログ人間のダニエル。対して公的機関の人間はロボットのように冷たい。社会のシステムから炙れてしまう正直な人。とても現実的で、結末も悲しい。でもこの映画が優しいのは、ダニエルの作ったあのモビールにあらわれてる。
ダニエル役の方はコメディアンだったのね。だから悲しい物語の中にユーモアがある。ケン・ローチ監督は流石。
印象に残ったもの、こと
木製の魚のモビール
手書きの履歴書
フードバンク
カセットテープ
壁に書いた I,Daniel Blake
大工道具
パソコンのカーソル、フリーズ
人間の尊厳とはなにか
彼がずっと手放さなかった奥さんの写真と大工道具とモビール
彼が天国で奥さんと会えていますように。
魚が泳ぐ海で。
頭をガツンと殴られたような衝撃
ラストシーンで声をあげて泣いてしまいました。
映画を観て嗚咽するなんて初めてのことかもしれません。
イギリスが舞台ですが、公務員のお役所的な応対や窓口のたらい回し、本当に必要な人に支援が届かないという状況は、イギリスだけでなく日本や世界中で日々起きています。
イギリスは、貴族階級と労働者階級がいまだ厳然と分かれていると聞きましたが、日本も格差が開き、同じような状況になりつつあります。
私の親世代が現役時代は、高度経済成長期で、たとえ資産がなくても真面目に働けば家族を養いマイホームが買え、定年後も年金で生活していけました。
今や非正規雇用が増え、私を含め労働力を売って生活する「労働者階級」は、一度働けなくなったり、高齢になったり、ひとり親になったりしたら、立ち往生してしまいます。
ケイティに他の手段はなかったのかと思ってしまいますが、日本でだって、しかるべき知識や助けてくれる人がいなければ、孤立して公的支援を受けずになんとかしようとして悲しい結果になる人が少なくないのです。
テーマは深刻だし、静かな映画ですが、よくできたエピソードやユーモア、皮肉をまじえ、ときに不意を突くような出来事が起こり、最後までまったく飽きませんでした。
ケン・ローチ監督は御年84歳だとか、映画の制作時も80歳を越えていたそうで、社会の不正義への静かな怒り、衰えない制作意欲に賞賛の拍手を送りたいです。
映画祭に参加していたら、間違いなく長い長いスタンディングオベーションを送っていたでしょう!
最後に頼れるのは隣の誰か。
国からの援助が必要なのに、複雑で理不尽な制度のせいで手当を受けられないダニエル・ブレイクと貧しい母子家庭の家族の話。
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ダニエルは医者から仕事はしちゃいけないと言われてるのに国の謎の検査で働けると判定される。その再審の申込はオンラインでしかできないし、問い合わせの電話も2時間ぐらい待たせられる。
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これを見てると今のコロナの給付金のことがやっぱり頭に浮かぶ。給付金どころか未だにマスクは届かないし、今すぐにでも10万円ほしい人たくさんいるよね。
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この映画みたいに国の制度がクソの場合でもそうじゃなくても、国にできることって限界あるからそういう時に、ダニエルと母子家庭の家族のように人同士が助け合うことが必要なんだろうな。
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ほんと今自粛警察とかやってる人そんな時間あるならその店のテイクアウトメニュー買え!
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よく聞くけど欧米の役所仕事はこんなモノなのか⁈
イギリスの社会制度へ怒りが静かなトーンで描かれている。真面目に生きてきても報われない人生の後半、観ていて辛い。人間としての尊厳は守られるべきだ。
最近読んだコラムでも書いていたが、イギリスの『ゆりかごから墓場まで』の神話は崩壊しているんですね。 最近の世相を考えると日本でも人ごとではないな。
見落としてはいけないこと
自国の社会保障制度のこともきちんと理解できていない私が、イギリスの制度の実態、ましてや運用に関しての属人的な部分(つまり、対応する職員の融通性の欠如)について、映画からの断片的な情報で批判的に語ることはできません。
確かなのは、たぶん次の3つ。
・たとえ良心的な専門家が真面目に考えて設計された制度であっても、運悪く支援対象に当てはまらない人が出てくる可能性があるということ。
・一旦制度上のルールで弾かれた人が救われるためには相応の法的措置や労力が必要なこと。
・人が社会の中で尊厳を保つという点において、ささやかであっても実直に仕事をし、定められた税金を払うことがとても大事であるということ。
どう見ても実直とは言えない〝濡れ手に粟〟のような手段で金銭的に成功した人は、一定の賞賛やプライドは持ち得ても、ダニエルのように堂々と、自分にも社会に対しても臆することなく名乗ることはできないのではないか。
帰属する社会の一員として果たすべき義務を全うした一市民の尊厳。
その市民が何らかの事情を抱えて苦しんでいる時に守れない社会。それは、行政の効率化やコストカットを優先した民営化を優先するうちに、いつの間にか制度以上に行政に携わる人間の思考そのものが硬直化してしまった社会になってしまったということなのだと思います。
日本では、生活保護を受けている人がパチンコに行った、というだけで批判を浴びます。
働きもしないで税金からの保護を受けるのはけしからん❗️と考える人にとっては、映画の中で、ダニエルが履歴書を配らなければならなかったイギリスの制度はむしろ正しく見えるのではないでしょうか。
〝医療専門家〟と呼ばれていた人は業務委託を受けていたと言ってたはずです。ということは民間会社の人なのだと思われます。ダニエルの生活よりも、支給額を減らすことが目的のヒアリングになるのは構造としては仕方がなかったともいえます。
コロナがもたらした大ピンチを社会構造の変革のためのチャンスに変えることに希望を見出したいと思います。
苦しくて温かい…
寒くてひもじいけど
プライドはある
孤独で情けないけど
意地はある
正当な申請が通らない
話が通じないのはどっちだ
悲しいとは思いたくない
けど全編見ていて苦しかった
気高いダニエル…永遠に
あたしもダニエルが好き
私は、と力強く言える姿
心臓病患者として、手当てをもらいたいだけなのに、なぜここまでの労苦が必要で、人を人としてみなされないのか。
きっと、自国でも同じような事態は起こっているのだろうと感じまたしたし、今まさに、日本でも現金支給のための役所的な手続きをしなければならないといった話が進んでいることに、懸念を覚えます。
その中でも、ダニエルブレイクが、粘り強く、しぶとく、諦めずに、時に周囲の協力も得ながら、煩雑な手続きを進めていく姿は勇ましくありましたし、
ラストシーンで、悔しくも弔辞になってしまっ「私は、ダニエル・ブレイク」と、自分のことを卑下もせず、過剰な自信も持たず、誇り高く述べている姿に凛々しさを感じました。
「”おかしい”ことは、”おかしい”」と言える彼の強さに心が温まり、私もこのような人間になりたいと思う。とても心に突き刺さる1本です。
わたしは、に続く言葉
大工として長年働いてきたダニエル・ブレイクは、心臓疾患で医者から働くことを禁止される。国の援助を受けようとするが、何度トライしても手続き上の問題を指摘されてはねられてしまう。自分も日々の暮らしがままならなくなる中、ダニエルはシングルマザーのケイティに救いの手を差し伸べる。
お金も尽き、徐々に身動きがとれなくなるダニエルの姿をケン・ローチは淡々と描く。それまで欠かさず税金を納めてきた、それなのに国は困窮にあえぐ自分の権利を認めないばかりか、尊厳をも奪うのか。I, DANIEL BLAKE. 俺は一人の人間だ、国民保険番号じゃない。最後のシーンの申し立てに、心が震えた。これは英国だけの物語ではない。誰もが、ダニエル・ブレイクになり得る。
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