特捜部Q Pからのメッセージのレビュー・感想・評価
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信仰心と悪魔の子
本作は【宗教】が事件のメインだ。盲信的に宗教を崇拝する家族(親)を見て育った子どもがどうなるかは、うちが思うにふた通りだと思う。
親みたいに信仰するか、真逆に憎むか。
前者は二世3世と疑うことなく幸せと暮らすでしょう。
後者は親みたいになるか、何が宗教だと世界が敵に見えるでしょう。
今回の犯人は後者でした。悪魔になるべくしてなり、作られたんです。ただ、だからと言って殺人が許されるべきではありません。しかも、向けられる悪意が子どもですから、なお、あかん。
たらればはありません。
救いは子どもが救われた事だけ。脚本的に起伏はあるにしろ、共感出来ず、うーんとなりました。
タイトルなし(ネタバレ)
シリーズ1、2、3と見て今作は
最後にちょっとくる…。
1作目の事件の前、そもそもカールは本題の事件の前に、自分のせいで同僚を亡くしたり寝たきりにしたりした責任を感じてる。
それがずっと響いてる。
1作目は助けられる。
2作目は助けられたと思ったのに、目の前で死んでしまう。それに2作目は途中に助けられるときを逃してて、見てる私があ〜となるんだから、彼は後悔しただろう。
インパクトがでかくて最後が印象に残るし決定打だけど、亡くなったのはキアステンだけではなく、双子の再捜査をお願いしに来た元刑事もだ。
彼は自責の念を感じることになる。また。
途中他にも亡くなる。事件を再捜査しなかったら亡くならなかった人もいるが、ほっといたら今後も被害者は出るからやらない訳にはいかないんだけど。
どこまで彼を苦しめるのかこのシリーズは…。
1作目の、応援を待たずに家へ突入したことから、ルールに厳密に安全第一になるかと思ったら逆で、
何としてでも助けるぞ!無理するぞ!になってる。
そこが魅力でもある。
そして、賢く経験もある刑事が、親身になって無理をしてくれなければ解決できないような事件たち。
どうすればいいのか…。
やっぱ犯罪率を下げて事件数を減らして、一つずつ解決する時間を確保しないと未解決が積み上がっていくよなと考えたり。
3作目の今作は、最初にカールが精神的に深刻なのがわかる。参っているが、助けたいという思いから捜査する。苦しそうなのがわかる。
犯罪映画やドラマを連続して見ただけで気分が沈むんだから、毎日向き合ってる警察の人は大変だろう。
宗教の話も出てきて、無宗教のカールの言ってることもわかるしアサドの言ってることもわかる。
無宗教のカールは信心深い人をバカにしてるところがあった。
アサドは信仰があるけど、盲信してる訳ではなくて、車の中での会話は分かるなと思った。
日本人もラッキーや奇跡や運命とか、幸運または不運を何かの力だってその時だけでも信じたり願ったり、都合よく使ってるところがあると思う。一応仏教の無宗教で無神論者だと思ってるけど、厳密には無神論者ではない感じ。
アサドの宗教観は現代的でバランスを取ってると思った。
無宗教以前にカールは相手への敬意が足りない、尊重してない描写が、過去にもちらほらあった。
無宗教ではなくカールの性格、カールの問題で、
アサドは相手に敬意を払ってて対比になってる。
刑事で凶悪犯罪を毎日見てて信心深い人いるのかな?
今回の犯人は目の前で殺すところを見せて、神は居ないと分からせようとしてたけど、それ日常的にすでに見てるよと。
最後感動した。バカにしてた宗教でも、信じてる人には慰めになる。
ポジティブな言葉は必要。
助かった子供たちの心が心配。
カールも今後心配。
【”メッセージ・イン・ア・ボトル。そして、悪魔の子が生まれた訳。”今作は狂信的な母親により心に傷を負った少年が犯した事と、現代の事件とを結びつける展開に引き込まれる作品である。】
■海辺でボトルの中に「助けて」と書かれた手紙が発見され、特捜部Qに送られてくる。7〜8年前に書かれたと思しき文面は滲んでほぼ読めず、唯一の手掛かりは差出人の頭文字「P」。
Qのチームはなんとか解読しつつ行方不明者を割り出し、過去の少年少女誘拐事件を突き止める。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・北欧の陰鬱な雰囲気はそのままに、今回では”神とは何であるか”という根源的な命題を描いている。
・狂信的な母親に、祈りを強要され、拒んだ姉は硫酸を顔に掛けられる。それを見ていた少年ヨハネスは神を憎み、長じてからは牧師に化けて、神を信じる家族の子供を海沿いの小屋に誘拐しては、殺害を繰り返して来た。
それが、彼にとっての神に対する復讐だからである。そして、彼は罪を犯すときには、必ず母親を殺した凶器と同じ鋏を使う所に、ヨハネスの心の闇が見て取れるのである。
<成人したヨハネスを追うカールとアサドのコンビ。カールは変わらずに精神が不安定な中、人生肯定感の大きいアサドに今作も助けられつつも、最後は犯人と対峙していくのである。このシリーズは、この二人のコンビネーションにより、変わらずに安定した面白さを保っているのである。>
キャラクターの魅力による安定した面白さ
本作が、というか特捜部Qというシリーズが面白い理由は、特捜部が窓際部署であり、事件かどうか分からないけれど一応捜査するかみたいな案件を扱うため、そもそも事件なのかどうかから物語が始まるところだ。つまり、ミステリージャンルでありながら犯人探しや動機探しをするわけではなく、事件探しをするのである。
事件ではなかったら物語が成立しないので事件であることは間違いないのだが、調べていくうちに事件として確定していく様が面白い。
なんというか、事件なんだけど事件の内容、全貌が見えない暗闇の中を勘を頼りに進む特捜部の二人を見る楽しさがある。
今回は信仰についての物語で、信仰をくじきたい神を信じる男、違う神を信仰するアサド、そもそも神を信じないカールという三つ巴で面白くなりそうだったが、残念ながらそうはならなかった。
それでもキャラクターの良さで楽しむことはできる。
少々病み気味のカールのことはあまり好きではないけれど、まあそれなりに優秀なんだろうなとは思うし、なによりアサドのキャラクターはいい。
デンマークにおいてはその信仰も人種においてももちろんマイノリティで回りからは厄介者のように扱われているが、とにかく優秀。
そして、カールだけはアサドを無視せず一人の人間としてぶつかり合う関係性がいい。
一見仲が悪そうな二人だけれど、しっかり見てくれるカールはアサドにとって少しだけ特別なんだろうなと思う。そこがアサドがカールを「友人」と呼ぶ理由だろう。
これも面白い
シリーズ3作目でダレてきてもいいころなのに面白い。エホバの宗教問題に踏み込む内容だ。カールの眉間のしわがますます深くなり、手が震えるほど精神を病んでいる。アサドのあたたかさが沁みる。犯人が背中を撃たれているのにカールを背負って運ぶほど元気だ。弟が溺死したかと思ったら蘇生に成功して本当によかった。アサドも最後刺されてしまう。命がいくつあっても足りない仕事ぶりだ。
犯人は犯人で宗教2世問題で虐待されてお姉さんは顔を大やけどで失明しているのに医療にかかれない。山上徹也さんがスポットライトを当てた宗教2世問題に気付かないままなら、ふーん、そういう問題もあるのか大変だなーくらいにしか思わなかったことだろう。今は、身近にある問題として認識している。
信仰に対して、鋭く切り込む
もう4回は観てる気がする。
シリーズ最高傑作。と書かれているが、その売り文句に間違いはない。
前作を観てきた人なら、よりそう思うだろう。
信仰を奪う者。という概念が非常に怖かったし、
彼がハサミを使うという設定も、象徴的に感じた。
そして、犯人役の人には、賞を上げたい。
見事な演じっぷりでした。美しく、知的で、怖かった。
カールと、アサド、ローセの関係性が良くなっていくところは、
特捜部Qファンとしては、最もたまらないところだと思うが、
今回も、それを感じられるところが多くあった。
カール、どうした?
なんだかんだで観てしまった
原作未読。
映画1作目のみ鑑賞済み。2作目は見つからなかったのでこちらを鑑賞。
1作目で北欧チックな重くてどんよりとした雰囲気に心が重くなりつつ、結局観てしまった。
今回は前回以上に緊迫感が常に漂っていて目が離せない。
アサドとカールの宗教観についてのやり取りが非常に興味深かった。自分の根本となる信心を馬鹿にされても、きちんと対話しようと試みるアサドはどこまで人間が出来ているのかと感心する。
ただ、最後のシーンでは確かにカールの心に響く何かがあったようで、カールの心が少しでも救われればいいなと思ってしまう。
なんだかんだで次回作も観てしまうのかも。
物語の悲愴感を映像美の中に表現
映像の風景や街の美しさの中に、孤独や寂しさが常に漂い、その中で物語が進んでいく。
作品の世界観を示すかのような雰囲気が、全編を通して視覚的にちりばめられている気がした。
主人公など登場人物の背景を説明するようなセリフはほとんどなく、見る側に想像力を求められるところが多い。そのため、他の作品を見る時よりも、人物の表情や言葉の抑揚を気にしながら見ることになり、いや応なしに物語に引き込まれていく。
一方、宗教への感覚が日本社会とは違うせいか、共感度がいまひとつ高まらなかった。頭では理解できても、心理的にどう扱ってよいか分からない、そんな感覚が残った。
ストーリ展開で少々おおざっぱな感じだったことと、終盤で「普通そう展開はしないでしょ」と思う場面が多かったと感じた。
人物の心理状態や背景に、大いに想像力をはたらかせながら、見る人それぞれが自分なりの解釈を加えて楽しむことができる作品だと思う。
子供が酷い目に合う映画は苦手
例によって犯人は早々に登場するから謎解きは監禁場所の所在と異常なまでの残虐性をもつ犯人の動機、むしろ異常人格形成に至った毒親のトラウマが物語の核心なのでしょう。
天使と対極にある悪魔の僕、その悪魔がイケメンの好青年で似非伝道師、悪魔は時に神の仮面を被り天使のような子供たちを生贄のごとく誘拐、惨殺するのだから観るに堪えない。
それにしてもたった一人の異常者に振り回される警察の能無しぶりには唖然とするしかありません。またしてもカールは囚われの身、窮地を救うのは例によってアサドです、いっそ主人公はアサドにした方が良いでしょう。
特捜部Qは、これまで3作見続けていますが、後味の悪さは最悪、こうまで北欧の闇、病んでいる様ばかり見せつけられるとこれまでの美しかった北欧のイメージが壊されます、特に子供が酷い目に合う映画は苦手ですし怖がらせる小道具のように使うホラー作家には嫌悪さえ感じます。
もっともアンデルセンの時代から子供には甘くは無いのですから、苦痛なら見なければいい話かも知れませんね・・、とほほ。
息するのも忘れそうなくらい観入っていまいました!
久しぶりに夢中になって観入ってしまった…。
やっぱりこのシリーズは凄すぎる。
1分1秒が、行き着く暇もなく緊張感を漂わせながら進んでゆく。
今回は信仰宗教の話。
エホバの証人の家族を襲った誘拐事件。
神を信じて生きていた家族に襲った不運に、毎度お馴染みのカールとアサドの凸凹コンビが事件を調査する。
今回は早くから犯人が分かっているけれども、その犯人の手強さが強靭すぎ!
警察が足掻けばあがくほど、犯人の思う壺なものだから、誘拐された家族が不運すぎます。
自分を悪魔と呼び、神を信じる家族を悉く苦しめる姿はやはりサタンそのもの。
彼自身の悲しき過去がこんな最悪な人格を創り上げたみたいですが…。
やっぱり育ってきた環境って子供にとってすごく大切だと痛感させられました。
現在子育て中の自分にとっては、他人事とは思えない事件。
特捜部Qやっぱり取り上げるテーマといい、内容といい本当にミステリー好きには堪らない作品。
凄すぎる作品を本当にありがとう!って言いたい(笑)
独特のキャラクターに、緊張感漂うサスペンス
タイトルなし
シリーズモノで安定して見れる刑事コンビ。北欧物で天気はすっきりしない。エホバの証人や新興宗教を扱い、ハサミで殺す残虐シーンもある。割りと早めにイケメン過ぎる犯人がわかるが中々捕まえられず、信仰心を折るために牧師となり、犯行を重ねるサイコな犯人は怖い。
何を信じるかは人の自由
カールとアサドの関係性がさらに深まったシリーズ3作目。
ミステリーとしての伏線の複雑さなどは1,2作目に比べてやや解消されてきた感があるが、その分信仰やアイデンティティーの問題が深堀されている。
終盤、PTSDに悩み、信じることそのものを放棄したカールに、その意義を呼び起こしたのが、犯人とその被害者である少女だったことに、とてつもない皮肉と悲哀を感じる。
アサドは相変わらずのアサドであった。
教義的な理由から被害者の父に疎遠にされながらも、最後まで寄り添うのはアサドだし、犯人との対決の最後は、アサドが犯人に洗礼を施しているかのようで印象的だった。
彼の深い愛情がどこから湧き出ているのか、いずれその出自とともに明らかになる作品が制作されることを願う。
デンマークの美しい情景の中で繰り広げられる凄惨な出来事に、人間の果てしない業を感じる。美しくも物悲しい作品だった。
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