楊貴妃 Lady Of The Dynastyのレビュー・感想・評価
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唐の皇帝の宮殿や競技場は偉容感満載で、楊貴妃も美しかったが、物語や演出がイマイチ。
チャン・イーモウ監督による2015年製作(122分)の中国・韓国・日本合作映画。
原題または英題:王朝的女人・楊貴妃 Lady of the Dynasty、配給:AMGエンタテインメント、劇場公開日:2017年3月21日。
楊貴妃は名前だけしか知らず、唐の時代の人間であったことや、皇帝の息子の妻であったことを初めて知った。そういう歴史的興味という意味では、まあ面白かった。
唐は世界的帝国であっただけに、その宮殿の威容を示す映像表現には凄みを感じた。数頭の馬を走らせて争う競技場もなかなかの迫力。そして、最近は脱税で名前が出てたファン・ビンビン、自分のタイプでは無いがやはり美しく、馬を乗りこなす姿にも感心させられた。
ただ、皇帝・玄宗役のレオン・ライが最高権力者らしくなく、普通のオッサンの様でかなり白けてしまった。あれだけ皇帝を拒んでいた楊貴妃が、強烈な嫉妬をするのも、変容が急すぎて違和感を覚えてしまった。
尚、衣装は「乱」の衣装を手がけたワダ・エミで、豪華で少しエロく、なかなか見応えがあった。
監督チャン・イーモウ 、ティエン・チュアン、チュアン シーチン、製作総指揮チャオ・ハイチェン、脚本チェン・ハン、撮影ホウ・ヨン、衣装ワダ・エミ、編集ウィリアム・チャン。
出演
ファン・ビンビン、レオン・ライ、ウーズン、ジョアン・チェン、ウー・ガン、ニン・チン。
話の大枠はいつもの楊貴妃譚と変わらない。楊貴妃をなよなよとした女性でなく勝ち気で自己を(ある程度)貫こうとした女性として描いているのが新味か。范冰冰は楊貴妃役として顔負け(?)していない。
①先ずは范冰冰の美しさで持っている映画と言ってよい。そういう意味ではスターシステム最盛時(1920年代~1950年代)のハリウッド映画とよく似ている。②豪華絢爛だが『王妃の紋章』のようなキンキラキンではなくもう少し品のよい豪華さ。衣装はワダエミさんなんですね。だから品が良いのかも(日本人びいき)。長安の都自体は皇城から見える遠景しかないが、皇城のデカさは流石に唐帝国という広壮さ。③前半はやや王朝ものにつきものの権謀術数があるが、後半は殆ど玄宗と楊貴妃との純愛物語りとなる。従い、激動の歴史ドラマ或い歴史の渦の中での人間ドラマというような重厚さはない。最近流行りの韓国王朝ものと大差ない。④しかし、歴史の実態はこんなものだったのかも知れない。当時の唐は大帝国の体はしていたが、内部には色々な問題を抱えていたから、それを「皇帝を操った寵妃とその一族」のせいにして政治的に納めたのかも知れない。⑤従い、ここでは楊貴妃は純愛を求めただけの清廉な女性であり、玄宗もそれに応えた男として、あくまでもラブストーリーの側面を強調する。まあ、こういう描き方もあっても良いでしょう。⑥最後楊貴妃が死ぬシーンは初めて観た演出でなかなか迫力とともに叙情もあり貰い泣きしてしまった。深みはないけど范冰冰の絶世の美女ぶりとラブストーリーを強調した如何にも往年のハリウッド映画仕立てにしてあることで点は甘くしてあります。
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