「原作既読だが、敢えてこれを評価しよう。」ゴースト・イン・ザ・シェル 皆友さんの映画レビュー(感想・評価)
原作既読だが、敢えてこれを評価しよう。
原作既読(映画ではなく本の方)。ツッコミたいところがネタバレなのでありにしてある。
原作ファンがいう失望感をある一点を除いて自分は感じなかった。ただ、映画好きの原作ファンなうちの母が、目も当てられない、という理由も多少分かった。
問題は素子が外人なことでも課長がビートたけしなことでも最初は素子がいない(後で判明するが)ことでもない。
なぜ、なぜタチコマがあんなにかわいくないただのごついアーマードコアのMT然とした奴なんだぁぁ!!
話を戻そう。
上記一点は監督をはり倒したいレベルでイヤになった。しかし、他の部分に目を通してみると、その世界観の再現に関してはなるほど良い仕事だと頷ける。BGMもちゃんと日本風コーラスがあるし、雑然とした街もそう。個人的には水辺の格闘シーンに見とれた。あの部分だけでも金を出して見る価値はある。
話の内容に関してだが、ここにツッコミを入れるのは野暮だと思うのだ。どうがんばっても原作者が関わらなければそれはオリジナルではない。幸いにしてこれは「攻殻機動隊」ではないのだから、設定を借りた作品として見ればいいのだ。実際、素子の出自としてもっともらしい理由をでっち上げたのは制作陣が有能だからに他ならず、サイバー空間に飛び込むという映像表現の難しさを上手くごまかしている。
そういうわけで、原理主義者でなければふつうに、面白く見ることが出来るSFアクションとしてこの話は成り立っている。
一旦頭を空っぽにして、あの素子は草薙素子ではないと思って見てみるべきだ。自分はそう母に伝えたい。
原理主義者でない方であれば、ぜひあの世界観を楽しんでほしい。