劇場公開日 2018年7月7日

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「女相撲とアナーキスト」菊とギロチン バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 女相撲とアナーキスト

2025年8月1日
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鑑賞方法:映画館

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1923年の大正時代を舞台に、当時盛んだった女相撲の架空の一座と、実在の過激派アナーキスト集団ギロチン社の面々が出会うというフィクションを描いたドラマ映画。関東大震災直後の閉塞した社会状況の中で、強くなりたいと願う女たちと、世界を変えたいと願い革命を志しながら恐喝と強請と強盗と殺人を繰り返す男たち。大正時代の様々な階層の様々な人々を登場させ、甘粕事件、関東大震災と朝鮮人虐殺、シベリア出兵と在郷軍人会など、多彩な要素を散りばめた力作だ。

ギロチン社のやってることははっきり言ってむちゃくちゃなんだが、そのむちゃくちゃさがまさに一種のアナーキーな映画のパワーになっている。とはいえギロチン社だけでは取っ付きにくい映画になりそうなのも事実で、そこに女相撲という題材を絡めたアイデアが秀逸。女相撲は江戸時代から盛んだったそうで、1960年代まであったらしい。女力士たちがいずれも好演で、主演の木竜麻生の初々しさがそのまま新人力士・花菊の魅力になっており、十勝川役の韓英恵の熱演も胸を打つ。ギロチン社の中濱鐵役の東出昌大、古田大二郎役の寛一郎も好演。

3時間以上ある映画で、途中で1回話が終わったような感じになり、エピローグが始まったのかと思ったらその後も結構長く物語が続いたが、なかなか面白くて長さはあまり感じなかった。

バラージ