劇場公開日 2018年7月7日

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「【大正末期、右傾化していく日本の中で夫々の”自由”を求めて足掻く、アナキストの男達、女相撲の女達の姿を描いた作品。昨今の日本及び世界の状況が酷似している気がするのは、私の蒙昧だろうか・・。】」菊とギロチン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【大正末期、右傾化していく日本の中で夫々の”自由”を求めて足掻く、アナキストの男達、女相撲の女達の姿を描いた作品。昨今の日本及び世界の状況が酷似している気がするのは、私の蒙昧だろうか・・。】

2023年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、VOD

悲しい

知的

難しい

― 実在した「女相撲興行」と「ギロチン社」史実をもとにしたオリジナルストーリー。-

■閉塞感漂う大正末期。
 元遊女や家出娘など、訳あり女で結成された女相撲一座・玉岩興行が東京近郊にやってくる。
 彼女たちの興行を見に訪れたアナキストグループ・ギロチン社の面々は、その真剣な戦いぶりに魅せられ、共に“差別のない世界”を目指そうとする。

◆感想

・「ギロチン社」の面々によるアナーキズムに基づく、当時の要人に対する行為は日本史で学んだので、大体把握していた。
ー 思うのであるが、彼らの理想と結果的に殆どが死刑もしくは長期獄に繋がれていた事実。アナキストの思想を否定する積りはないが、先走り過ぎている事を改めて実感する。
  大杉栄や、彼の妻になった野江に対する甘粕大尉の虐殺などは描かれてはいないが、彼の時代に人権という概念が希薄であった事は事実であろう。-

・今作の見所としては山形を主とした「女相撲」と、アナーキズムによる「ギロチン社」の面々による交流であるが、久方ぶりに鑑賞すると、少し交流部分が弱い気がしたかな。

・役者としては、東出昌大、寛一郎、渋川清彦の男優陣よりも、韓英恵、山田真歩、そして今作が初出演である木竜麻生さん達女優陣の凄みを帯びた演技が印象的である。
ー 特に、在留韓国人を演じた韓英恵の関東大震災時に、韓国人大虐殺を語るシーンなどは、中濱鐵を演じた東出昌大が土下座して詫びたように、鬼気迫るものがある。-

<近年、ロシアのウクライナ進攻を筆頭に、世界がドンドンきな臭くなってきている事は衆知の事実である。
 その根源には、今作で描かれているように、民族間蔑視がある事も衆知の事実である。
 更に言えば、同民族間でも男尊女卑が厳然としてある事も周知の事実である。
 日本は、先進国と言われているが、管理職比率は低い。
 (但し、立場上、”ある理由”がある事も知っている。)
 今作を再鑑賞すると,”日本って(鑑賞後)5年経っても、何ら変わっていないと思うのである。>

<2018年9月9日 シネマテークたかさきにて鑑賞。>

<2023年8月25日 別媒体にて再鑑賞。>

NOBU