「風の中にキク」菊とギロチン atararuiさんの映画レビュー(感想・評価)
風の中にキク
観終えた後にぐったりときました それだけ衝撃がキタという
身体を張って生きてゆく女性達の強さと権力に抗うアナキスト集団 両者とも先進的な人々であって見据えた先に自由を夢みました
「天皇陛下万歳」が呪縛のように力を持っていた頃 この言葉がこんなにも悲しく虚しく聞こえたのはある意味 従属という重しにも似ているから とてつもなく悲しい気持ちになりました
軍の上層部の考えも弱者の想いもより良い日本の為 でもこの二つ根本的に接点が繋がらない 全てを否定するわけではないけれど前者はひとつ間違えると天皇の名を借りた危うい新興宗教にもなりかねない
大事なこと "まず人がいて国があるということ 国があって人がいるわけではない" これは似ているようでいて180度全く違います 日本がこのことに気づくまでに一体どれだけの血が流れていったことでしょう···
アナーキスト達の抵抗は決してスマートなやり方ではないけれど崇高で透明感すら感じさせるものでした
気持ちが奮い立つどころか重たい話でどんどん気が滅入っていく中 純朴な恋慕がなんとも優しく健気で丁重でありました
相撲の神様がいると言われたらそのまんま信じていた自分 何でもかんでも鵜呑みにするといけないなと思いました
映画の中でも朝鮮人が悪く仕立てあげられていたけれどそんな風にして事実とは違う洗脳操作なんてのは現代の方がもっとスピードが早く危険 冷静に自分で考えることの大切さを感じました
この時代の男尊女卑についてはもう度合いが凄すぎてついていけません 解決なんてできない気がします 補い合うのが理想でしょうか お茶くらいは女性が入れたらいいんじゃないかと思うタイプでしたけど違うかも···と ぐらつきはじめています
私が花菊だったらこんなに前向きに生きることはできず古田さんと一緒にどこかに逃げるだろうなと思いました(苦笑)
先進的な人々は泥沼の中でも美しく咲いていました
ラスト 中濱鐵の朗読が力強くいつまでも耳に残ります その言葉たちは今も風に吹かれているに違いない
自由に忍び寄る不穏な足音が聞こえたら立ち上がるんだぜ諸君!
その声 確と頂戴いたしました