「内無双(うちむそう)」菊とギロチン いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
内無双(うちむそう)
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自分の上手で相手の足の膝の内側を掬い上げ、体を捻って相手を倒す技。劇中で主人公の女力士が好きだった決まり手である。身体の捻りがポイントとのことだが、結局、アナーキストも女相撲も、時代に巧く捻り入れることができず、木っ端微塵に爆弾のように吹き飛ばされてしまったという皮肉を込めてなのだろうか。
暴力の反対は平和ではなく『対話』というのをネットで観たが、確かに対話が欠如してるそれぞれの陣営である。ギロチン社、女相撲巡業一座、そして村の急進的右翼と、警察。それぞれが自分の正義を振りかざすだけで相手の意見を聞かない。そして徹底的に相手を殲滅せんとその情熱がピークに達したとき、当たり前のように暴力がそこに支配をする。負けた者、力なき者は差別により虐げられ、力の支配がまかり通る。結局、人間も猿も同じ。『叡智』なんてものは、イマジネーションさえ当てはまらない。
ジェノサイドは常に人間の心の深淵に潜んでいて、容易に顔を出し、悪魔や鬼へと変貌を遂げさせる。
今作品の最大のテーマ、『暴力』というメカニズムの一端が隠すことなくまざまざと我々に見せつけられる。痛々しいまでに、そして、人間を支配せんと常にタイミングを見計らって・・・ 暴力の連鎖は、イコール人間の歴史と言わんばかりに・・・
もし、新しいイデオロギーとしてカウントできるならば『厭世主義』を入れて欲しい・・・
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