「監督を評価したい!」菊とギロチン トコマトマトさんの映画レビュー(感想・評価)
監督を評価したい!
瀬々監督が30年来温めた企画を実現した作品という。それを果たしたというのは実に立派だ。
毎度、事前知識はほとんどなしに映画館に行くのだが、行ってみて尺の長さに驚いた。
東京テアトルの株主優待券でタダで見ようと思ったのが、「特別興行」ということで、2000円が1500円の割引になっただけだった。
上映時間189分って…。予告編も入れたら3時間半だ。「休憩ないの?」とスタッフに聞いたほどだ。
果たして耐えられるか?!
作品的には、粗いなあ、と思う描写や役者の演技力にも疑問符が付くところがないでもなかったが、この内容でおそらく低予算で最後まで完成させたのは評価したい。
長さも気にならず、最後までスクリーンに集中できた。
大正当時なら、「中国ではなく、支那(変換もできないくらいのNGワードなのか?)と言ったはず」とかの突っ込みもしたくなるし、女力士やアナキストらも、朝シャンしてきたようなきれいな顔してたりしたし、同時録音のセリフもやや聞き取りにくく、前半はなかなか気持ちが入りにくかった。
しかし、終盤からは役者の演技も力があったし、ラストの場面にも感情移入ができた。
1500円の価値は十分あったよ。
長いし、テーマも俗人受けするものではないが、こういう題材を選び、予算含めてさまざまな制約がある中で作品にした監督はじめ関係者の努力を評価したい。
映画や演劇人らには、左寄りの人は多いだろうが、口先だけでその「思想」を作品化した人は少ないだろう。
本作のパンフレットに感想を寄せている長谷川和彦なんか、結局何も撮らないままのヒモ生活してるし…。
その点でも、監督は立派だと思うよ。
もうひとつ、どんなに面白い作品でも他人のアイデアにただ乗りしてしまった「カメラを止めるな!」の関係者は、この映画を見て、ちょっと反省してほしい。
この作品に関係無いタイトルを出すのはあまり褒められるものではないかと・・・
あくまでも、作品の内容に関しての他タイトルの引用は勉強になるでしょうが、外側の話を持ち出すのは視野を狭めるかと・・・