劇場公開日 2017年6月1日

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LOGAN ローガン : 映画評論・批評

2017年5月23日更新

2017年6月1日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

ヒュー・ジャックマンが17年間追い求めてきた魂の最終形がここにある

もう胸が張り裂けそうな気持ちでいっぱいだ。我々は「X-MEN」(00)以来、17年間にわたってヒュー・ジャックマン演じる”ローガン“と並走してきたが、その長い旅路がこれほど壮絶かつ妥協のない形でフィナーレを迎えようとは誰が想像しただろう。

時は2029年。彼がもはや不死身のヒーローでなくなっているのは序盤より明らかだ。治癒能力は衰え、猛々しかった爪も今では弱々しい。そんなローガンがチンピラ相手にボコボコにされる姿は衝撃的だし、死に物狂いで反撃を繰り出す中、相手を突き刺し、引き裂き、屍を築き上げていく様は「デッドプール」(16)以上に生々しい。これは観る側にもある種の覚悟を強いる映画だ。

老眼鏡をかけ、走ると息も絶え絶えとなるローガン。そこに輪をかけた“老い”を見せるのが、隠れ家で要介護暮らしを送るプロフェッサーXだ。彼ときたら、時々、意味不明のことを口走ったり、自らを制御できず衝撃波を放ったりもする始末。

しかしそんな折、彼らの前に一人の少女が現れる。ほぼすべてのミュータントが死滅した時代。敵に追われ、言葉を発しないミステリアスな彼女は一体どんな能力を秘めているのか。ジェームズ・マンゴールド監督は巧みな采配でヒーローたちの老いを提示し、少女の特殊性を呆気にとられるほどの衝撃で刻み、いつしか彼らを一台の車に乗せ渾身の力でアクセルを踏み出させる。そこから旅が始まる。その光景はさながら、祖父、父、娘が織り成すロードムービーのようだ。

愛を知らず、あらゆるものに敵意を剥き出しにする少女が少しずつ変わりゆく様はローガンの過去と重なる。また、多くの者を傷つけた贖罪と仲間を救えなかった無念を抱えた彼もまた、少女を守ることで何かを学び、同時に未来をも切り開いているように思える。かくも集大成となる本作において過去と現在、希望を折り混ぜつつ、その支柱に“とある映画“を効果的に引用するのも、数々の作品で西部劇の精神を踏襲してきたマンゴールド監督らしいところと言える。

怒り、戸惑い、畏れ、優しさ。あらゆる感情を経由しながら、傷だらけになってもなお戦い続けるローガン=ジャックマン姿に、もはやアクションや演技という枠を超えた“魂の咆哮”を観た。これぞ17年間の旅路の果てにふさわしい終着地。万感の思いが押し寄せてくる。繰り返すが本作は覚悟を強いる。生半可な気持ちでは到底太刀打ちできない。が、それでもなお、意を決して飛び込むべき映画だ。

牛津厚信

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