「莫大な制作費をかけた中国語"化け猫映画"。宣伝の仕方が幻術」空海 KU-KAI 美しき王妃の謎 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
莫大な制作費をかけた中国語"化け猫映画"。宣伝の仕方が幻術
観るのは止めないけれど、予告編にダマサれないように。"空海"という言葉を忘れて、頭をまっさらにして受け止めたい作品。
別に主人公は、"空海"である必要もないし、舞台設定が"唐の長安"ではなく、日本のはなしにすることもできる。つまり"白楽天"や"楊貴妃"さえも置き換え可能。このストーリー設定自体が妖術なので、まさに妖術映画である。
本当の主人公は、"化け猫"。ちなみに原題は、「妖猫伝」で、英タイトルも「Legend of the Demon Cat」。"子々孫々まで怨みたおします"という立派な姿勢は、化け猫界のレジェンドだ!!という意味だったりする。
夢枕獏の原作「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」も、せっかく空海と楊貴妃のキャラクター幻術で読者を惑わしていたのに、国際的な映画化で"妖猫伝"と本質を突かれてしまった。
では、映画の完成度が低いのかというと、そうでもない。カンヌのパルム・ドールやゴールデングローブ賞の実績もあるチェン・カイコー監督らしい、制作費をかけまくったスペクタクル作品。チャン・ロンロンの楊貴妃は美しいし、観るべきところはそれなりにある。
主演の染谷将太もいい。あの狂ったように出演作を重ねていた人気ぶりは、すっかり菅田将暉にお株を奪われてしまった・・・と思いきや、中国に行っていらしたのね。
本当は染谷くんが頑張った中国語のセリフが聞きたいのに、染谷将太吹替えを本人が中途半端にやる意味がわからない。
名前で選んだだけの吹き替え版キャストにイラつきます。吹き替えに丁寧さが感じられない。
要は、莫大な制作費をかけた中国語"化け猫映画"として見ればいいってこと。
(2018/2/24 /TOHOシネマズ上野/シネスコ)