苦い銭
劇場公開日 2018年2月3日
解説
「三姉妹 雲南の子」「収容病棟」などで世界的に高い評価を受けるワン・ビン監督が、縫製工場で働く女性労働者たちの姿から現在の中国の側面を描き出すドキュメンタリー。第73回ベネチア映画祭オリゾンティ部門脚本賞、ヒューマンライツ賞受賞作。15歳の少女シャオミンは、生まれ育った雲南省から長距離列車に乗り込み、遠く離れた東海岸の浙江省湖州にやってくる。この街は住民の80パーセントを出稼ぎ労働者が占め、シャオミンが働くこととなる縫製工場にも、彼女と同じようにさまざまな土地から出稼ぎに来た女性たちが働いている。経済急成長を遂げ、経済大国となった中、1元の金に一喜一憂する人びとが数多く存在する中国のもう1つの現実。シャオミンの湖州への旅からスタートしたワン・ビンのカメラは数人の女性たちの表情を軽やかに記録していく。2016年・第17回東京フィルメックスの特別招待作品。
2016年製作/163分/フランス・香港合作
原題:苦銭 Bitter Money
配給:ムヴィオラ
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2018年1月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
ワン・ビン監督の作品を初めて観たのだが、並みのドキュメンタリーとは別ジャンルにすべきじゃないかと思うぐらいに別格の強度がある。たとえば、自分の妻に文句を言い続け、手を出す暴力夫。顔を叩く、殴るで収まらなくなり、なんとカメラの前で妻の首を絞め始める。
あるいは、工場の中で酔っぱらって仕事仲間の女性に延々と管を巻いている労働者。ドキュメンタリーのカメラが相当な長期間にわたって入り続け、彼らにとって異物ではなくなったのだろうか。撮影されていることを意識しているとは思いがたい、人々の驚くべき素顔が映像に収められている。100円ショップで売られている中国製品はこうした低賃金労働者によって作られていることを知ると、安いから便利だからと言って買うのもどうなんだろうと考えずにはいられない。
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アパレル業界の底辺の人々が生々しく描かれていたのだが、長くて眠くなった。カメラが回っているのに、奥さんに暴力を振るうとか、本人は悪いことしておらず、当然だとでも思っているのかな。会社をやめると言ったおじさんが、女性社員の横でずっと同じ話を繰り返しているのも未練たらしくて気の毒だった。同じ話を延々繰り返す人が多かった。
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初めてワンビン監督の映画🎬を見ました。最初から最後まであまりにもリアル過ぎて、言葉も出ません。地方の山村から都市部にまで出ていかなければ稼げない現実、ケンカ、マルチ商法、離職、仕事場での管巻き不衛生環境等...世界中で問題になっている格差、環境、高齢化社会、商品が何処で作られている事を考えて行く事が大切です。
2018年3月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
鑑賞後のトークショーで山田泰司氏の補足が大変参考になった。
まず都市部に住む人と地方に住む人たちで戸籍上分けられてしまったという背景があり
出稼ぎに来ている、いわゆる「農民工」が都心部の建築や産業を支えている状態。
この中に描かれているように
家族と離れ、長時間移動をして少ない賃金でもなぜ頑張っていられるかというと
発展を遂げる都市部を目の前にして
「次は自分たちが豊かになる番だ」という希望があったからだそう。
ただ、現在は「どうやら自分たちまで富は回ってこないのではないか」という不安も出てきつつあるという。
私自身、メーカーに勤めており中国に製造の依頼をしているため
とても身近なテーマだった。
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