「Love of the Common Man」オリ・マキの人生で最も幸せな日 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
Love of the Common Man
解放された後の2人の姿にホンワカしてしまい。
久しぶりに生粋の欧州映画を観た気分。フィンランドかぁ。遠そう…寒そう…あそこ、白夜だったっけ?オーロラ見れたっけ?NokiaとLinuxはフィンランドだっけ?首相が美人なんだよね、確か。魚を輸入してる?それはノルウェー?シベリウスはフィンランドでしょ。そうや、ニッカネンでしょ。そうだそうだ、プジョー205T16のサロネンとLancia Delta HFのアレン、二人ともフィンランドじゃん、カンクネンもマキネンも。そうだ、Toyotaがラッピを引き抜いてYarisで勝ったんだよねぇ、って結局WRCですかw フィンランドと言えば、ラリーとジャンプです。ボクシングじゃないよなぁ...
オリとライヤの「上京前」の描写が好き。田舎暮らしで、ユルくて大らかな人達の中でいい感じで出来上がってるお兄ちゃんとお姉ちゃん。体重60kgのオリと、ふっくら美人のライヤの欧州流自転車2人乗り。もう、この時点でほのぼの。
ボクシングフェザー級世界タイトル戦の挑戦者としてヘルシンキを訪れた2人を待ち構えていたのは「我が国初の世界タイトルマッチ」に沸き立つ様々な人々。意味も分からない写真撮影、支援者とのパーティー、記録映画のカメラマン、部屋に入り切れないくらいの新聞記者。「上流階級の人々」とのパーティ、記念撮影、食事会。やらせ映画で、カメラの前でポーズを決める。
ライヤは疎外感から帰郷。これまで経験したことの無い、マネージャーの管理に息苦しさを感じるオリ。減量に苦しみ、ライヤを追って帰郷したオリは、ライヤに結婚を申し込み、「世界チャンピオンになる?なら結婚する」と返答される。世界戦の前に、指輪は作っちゃうんですけどね。
米国からやって来たチャンピオンとの実力差は如何ともしがたく。2ラウンドでTKO負けを喫する。あれだけ期待してくれてると思っていた支援者も、マネージャーも、良い感じで無視してくれることが、逆に気楽だと感じるオリ。ちょっと腹立たしいのはライヤ。
試合後のパーティ会場で、一人所在投げにうつむいて立っているのは、5回目の防衛戦に勝利した黒人ボクサー。会場を二人で抜け出して、海に向かって石投げ遊びに興じるオリとライヤ。
騒がれて持ち上げられても、結局は見世物として誰かに利用されているだけに過ぎない。普通の男として、恋した女性と歩き始めた日が、人生最良の日。
モノクロです。16mmフィルムで、時代感、バンバンに出てます。音楽のセンスも最高。レストランで流れるピアノは「Stella by Starlight」と言う選曲センス。言葉少なく、唐突に切り替わって行く場面演出。「モノクロームの青春」な導入部に沸き立つ、郷愁。
「フィンランドで初めて開催される世界タイトルマッチ」にかき乱された2人は、壊れずにちゃんと、戻ってくることが出来ました。と言う最後に、胸がふわーっとなる物語だった。
マネージャー役のエーロ・ミロノフに見覚えあるなぁ、誰やったっけ?思い出せなくて調べたら、「ボーダー 二つの世界」のヴォーレでした。そりゃ、分かりにくいね。
良かった。とっても。
とにかく好きです。最近、こういうのに飢えてたかも知れないですw