「109シネマズ木場にて観賞」ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 shallowwhiteさんの映画レビュー(感想・評価)
109シネマズ木場にて観賞
連載開始時より第7部まで原作を読んでいた者として語り口は多い。以下、箇条書きにて。
壱、
衣装から髪型まで原作を忠実に再現した結果、コスプレ劇感が出てしまった。
学生達はともかく、条太郎は歴とした社会人である変換が必要だった。仗助より条太郎の髪型の方が変。
弐、
プロットは基本的に原作トレース。この害が一番出たのは脚本。
原作そのままに進行と台詞をなぞった為、説明セリフが多くなり、かなりテンポが悪くなってしまった。
特にクライマックスは説明漬けで、原作に忠実故に先読みが出来て退屈してしまった。
脚色家、話を編成するだけで仕事をしてないに等しい。
参、
脚本について、もう一つ。
数少ない脚色箇所として、山岸由花子が冒頭から広瀬康一に纏わり付いている点があるが、これは全く不要だった。
仗助が虹村兄弟と交戦する動機の強い部分として、康一との関係があるはずだ。
虹村兄弟と出会うまでに、二人の関係を作っておく必要があったが、由花子が存在するために康一と仗助はロクに会話もなく、少なくとも仗助からは「転校生の誰か」程度の認識しか無いまま虹村兄弟との戦闘に入っているはず。仗助は「康一!」と親友のように名を叫んでいるが、どういう奴かも分かっていないはずだ。
由花子はスタンドを発動することなく、全シーンをカットしても支障が無い。
小松菜奈が勿体ない限りが、宣伝のため主要キャストに女性が必要だったのだろうか。とすれば、脚色家以上に製作者マターの案件だろう。
スクラップブックとオチを考えると悲劇の幽霊少女・鈴美こそ出すべきじゃなかったのか。
四、
スペインのロケーションで異質な雰囲気を出そうという発想は面白いし、コストや効率面でも良いのだろうが、店の看板など細部の作り込みが安くノイズになってしまった。
最後のショットで後ろにスペイン的衣装の集団が居るが、あれは映り込んだのか、わざとなのか。
伍、
演技について。
主演の山崎賢人については、お世辞にも演技が上手いとは言えず、佐藤健=るろうに剣心 の再現は無いが、高校生故にこれもありかと思えば悪くない。母親役の観月ありさのテレビ演技と比較したら名優の域だ。
他キャスト、悪役3名は適切な演技だと思うが、神木隆之介のクドカン的リアクションは古臭い。悪いクセが付いたな、という気がした。
六
またしても製作が確定していない続編の前振り満載の映画。
最近、洋画邦画問わず数多いが、いい加減カッコ悪いし意地汚い。ちゃんと完結した一作を作り、当たってから次を考えましょうよ。
七、
スタンドについて。
先ず説明が乏しい。特に主とスタンドのダメージの関係、位置関係など基本的なルールや制約については原作を知らないと呑み込みづらいのではないか。
本作のメイン・ヴィランのスタンドであるバッド・カンパニーは基本的な人型と比して特殊なタイプであり、やはり呑み込みづらいだろう。
CGなどは違和感なく見れたが、シアハート・アタックの青いカラーリングは安っぽい。
八、
Gレイティングで誰でも観られるはずだが、三池監督らしく結構グロテスクな描写がある。
『寄生獣』の成功例もあるがリスキーな選択だ。少なくとも『寄生獣』には原作を映画に変換しようという工夫があった。
原作ファンの声を恐れ、忠実な原作トレースの道を選んだ苦衷は察するが、『ジョジョ』は恐れが過ぎて製作陣の創造的な声が聞こえてこない。
以上