「「荒木」と「三池」の「奇妙」な「冒険」はそこにあるのか?いち映画ファンのおっさんは本作をこう見た!!」ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
「荒木」と「三池」の「奇妙」な「冒険」はそこにあるのか?いち映画ファンのおっさんは本作をこう見た!!
荒木飛呂彦氏の原作である漫画「ジョジョ」を日本の商業映画において、もっとも自由に撮れる三池崇史が撮る、という。以前、「無限の住人」のレビューでも書いたが、三池崇史にとって、漫画原作こそ真骨頂、と思っている俺からすると、「観れる映画以上、名作以下」ぐらいのモノになる、とは思っていた。
本来なら、この組合わせは、何らかの化学反応がおこるものだ。あのつまらない原作「テラフォーマーズ」をあそこまで面白く観れる映画に仕立て上げてしまうのが三池だ。
唯一の不安は「原作ファン」の存在。映画「ジョジョ」への期待、あるいは評価、とはどうも「世界観の再現」らしい。そしてこのファンの数は「テラフォーマーズ」「無限の住人」の比ではない。
映画は誰に向けてに作られるのか?本来はお客さんのためだが、作り手自身のため、というのもあろう。だが、「お金を出した人のため」という側面も当然ある。
これはマズイ。
そこに「荒木」の「三池」の「黄金の心」は宿るのか?
「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第1章」
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ここからは、原作ファンも、そして三池ファンも読まないほうがイイ。いち映画ファンとしての戯言だと思ってほしい。
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荒木飛呂彦氏も三池監督もこれまでの作品群で、ファンの顔色を窺ったり、人気取りの行動を行ったことがない、とは決して言わない。
だが、本作は作り手が「模写」や「雰囲気」に力を注力し、ファンの顔色をうかがうような作品に「しようとしている」結果になった。荒木氏と三池氏の組み合わせでこの結果は最悪だ。
だが、この作品を見て「まあまあ」という評価を下す「原作ファン」も「映画ファン」はもっと最悪だ。
今のところ、ここのレビューで好評な部分について、すべて逆の意見を言おう。できるだけ原作との比較でなく、映画単体で話そう。
1)俳優とキャラクターについて
神木隆之介の高校生はもう無理。伊勢谷友介細すぎ。
まあ、「コスプレ」と「スタンドの力」という意味ではこの辺はどうでもよいかもしれない。ただし山田孝之の「アンジェロ」がひどい。もっと変態の役でこそ、「アンジェロ」であり、「山田孝之」では。
2)舞台について
オレからすると杜王町は純日本の風景を持つ街だと思っている。だからこそのヤンキーの街であり、日常の中に恐怖が潜み、その日常の生活を守るために、少年たちが悪と戦う。という話だ。
日本ではないどこか、である必要は全くないし、むしろ逆だ。
第一わざわざ海外ロケに行ったところ、大して背景役に立ってない。どうにも「予算確保」にしか見えない。
3)ストーリー
本作、「最初の掴み」が悪すぎる。そして「一見さんお断り」というか、「一見さん来たらラッキー!でも不親切でごめんなさいね」という半分詐欺まがいなつくり。
だが、そもそも原作も本作のあたりは、設定がかなりいい加減だし、盛り上がらない。ラストが変わっててどうのこうの、言うより、全編、ひねりが何もないので、こちらは登場人物の初登場場面でニヤニヤするだけ。
ファンが「ただ後追いするのみ」のストーリーで、最悪。
4)映像と音楽
CGのアラをごまかすためか、全編画面が暗い。この暗さは原作第4部のカラーではない。まあ、それを置いておいても、ヤンキー映画の名手であろう三池がヤンキーのでる映画でここまで映像面でビビっているのは観たことない。
漫画らしい決め画もないし、映画ならでは、な構図もない。
「ジョジョ立ち」しろ、とは言わないがヤンキーとジョジョ立ちって意外に相性あうと思うので、三池らしい「おふざけ」が一切なくなったのは本当に悲しい。
音楽はただただ気持ち悪いだけ。
5)スタンド
CGであることははじめからわかるのだから、もっと「カラフル」に「ファンキー」であるべきだ。
多少違和感があっても、というより、「違和感」が本来この作品を楽しむ大きな要因ではなかったのか。
バッドカンパニーのビジュアルを絶賛している人が多いが、あんなの「CG技術」であって、作家性ゼロ。
「いいモノ」をつくる、という視点がここでもブレブレ。
6)最後に
「黄金の心」を持った、「荒木」と「三池」の「奇妙」な「冒険」が見れないようでは、いち映画ファンとしては、本作全く見るべきものがないし、続編は全く見る気が無くなった、というのが結論。