「テラスという空間で展開するカオス」At the terrace テラスにて 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
テラスという空間で展開するカオス
どこかの会社の専務宅で行われていたパーティーがお開きになった後のテラス。
どこの誰だかはっきりしない登場人物がいちいち可笑しい。
専務でこれだけ裕福な生活をしているのだから大会社なのだろうが、容姿からしていかがわしさが漂い、奥方も癖がありすぎる。後からでてくる息子も、いい大学行ってる感がプンプンしている。
一人だけトヨタの社員だとはっきりしているが、知らないところで勝手に童貞扱いされている時点でもうキャラができているようなもの。すぐ泣くし、どうでもいいシリアの話を持ち出して場を白けさせるし、そもそもなんでトヨタの人間が仕事がらみでここにいるんだ?って疑問を持たされていること自体、まんまと監督の術中のはめられているような気がする。
ほかに、二人の斎藤さん。それに、その片方の奥さん。
たわいのない会話から、誰がどういう人物で、誰と誰がどういう付き合いなのか徐々にわかっていくのだが、中途半端なとこまでしかわからない。そのせいで、いつ何をいいだすのか、会話に集中してしまう。つまり、そこでもうまくはめられているのだ。
テラスから誰かが出て行ったり、また戻ってきたり。二人っきりになって妙な空気になったり、全員が揃ってどうでもいい話でもめたり。しつこさといい、間といい、ずれ漫才のようなクスグリも散りばめられていて、可笑しいったらありゃしない。
台詞のないところでも、感情を押し殺した表情のアップがツボにはまる。
「白い腕」からの展開で、女二人のねっちりしたバトルを絡め、いいところでもうひとりの斎藤さんがぶっ倒れるアクセントが効きまくり。
で、今度はこの二人がもめるのか?と思いきや、なんと....。
カオス状態のテラス(とバルコニー)でそのエンディングかよ!
最高に可笑しいじゃねえか!
最後に、毒消しのようなほんわかしたエンディングがまた堪らんわ。ムササビ可愛いし。
余談ながら、川端康成の怪談集、Amazonで買っちゃいました。
これをネタに女性を口説くかどうかわかりませんが。
なおこの日、初日舞台挨拶。
生の石橋けい、とても綺麗でした。