武曲 MUKOKUのレビュー・感想・評価
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再生への道
映画館に行こうと思ってた作品だがDVDでの鑑賞となった。
原作は読んでないが手元に置いて読もうと思っていた作品。
剣とは剣道とは。
私も剣道をしていた経験がある。
若かった頃は竹刀の太刀筋で一刀の元に斬ると言う意識で剣を振っていた。
スポーツとしての剣道ではなく武道である。
映画自体は綾野剛と村上虹郎の演技が光る。
両者とも鬼気迫る演技で見るものを惹きつける。
雨の中の決闘は秀逸だ。
剣の道を進んだ父とその父を自らの剣で殺してしまった子の葛藤と堕落そして再生が剣を通じて見事に描かれていた。
周りを素晴らしい俳優人が集まってこの作品に厚みを持たせている。
特に村上虹郎の表情は素晴らしい。
昭和テイストで始まります
武道と殺人との境目
近年まれに見る「クズ大人気なかっこいい」作品
ポスターが酷すぎてスルーしていたよ、熊切監督作だったのね…。
熊切監督は鬼畜大宴会から劇場で観ていて好きなのですが微妙にガッカリする作品もあるし、今回は特にメインポスター(人気俳優と若い俳優の顔アップが縦に並んでる)がダサかったためテンション低めで行きました。
しかし、始まってすぐキュン死にしました。【注】ここでいうキュンとは変態としてのキュンです笑
出だしで心つかまれ、引きずりこまれたのち観客を不快、不安にさせる要素が散りばめられているのになぜかクセなる熊切世界に浸ります。
たゆたう不穏と鮮烈なる美しさ。
綾野剛のこれでもかっていうぐでぐでシーン多発は、いつまでダラけとるんじゃゴルァというイライラ感と共に、苦しみもがく有り様を永遠に見続けたいような恍惚感を私に起こさせます。
原作、脚本に監督の変態さから来る事象がプラスされ普通のスポ根モノ剣豪モノとして考えると多少異質な映画になってる気がしますが抗わずに浴びてほしいです(笑)
不思議なアクション映画
原作は読んでいないが、映画の印象は70年代によくあったアメリカの良質なアクション映画を思わせる。戦うこと自体がモチベーションになるという点でロバート・アルドリッチの「北国の帝王」のようだ。あっちはリー・マービンとアーネスト・ボーグナインのむさいオッさん同士の殺し合いだから、綾野剛と村上虹郎の美しき男たちの戦いと比べられないように思えるが、戦いのモチベーションが同根なのだ。こういう映画が今の日本で作られるとは。
綾野剛は良い役者だ。映画の選び方がいい。ただし脇にまわると「64」のときのようにつまらないことになる。今後も今のスタンスで主演作を選べば得難いスターになる。
凄まじい戦いのあとのラスト、もう一度殺し合いではなく立ち会うふたりの姿が美しい。ふたりの剣道での立ち会いを、何のケレンもなく正面から捉えた演出が清々しい。暗い物語だがラストで光が射すのだ。
もう少し、彼に期待していた
決闘の後が急ぎすぎの気も。
スクリーンからほとばしる気迫。クライマックスを目に焼き付ける
圧倒的な画力。綾野剛と村上虹郎の10分間にわたる豪雨の中での決闘。スクリーンからほとばしる"気迫"。このクライマックスを目に焼き付けるために構成された映画だ。
"殺人剣"と呼ばれる剣道の達人を父に持ち、その父に育てられた"研吾"(綾野剛)。対して、剣道初心者でありながら、本人も気づかない天性の才能を持つ高生・"羽田融"(村上虹郎)。2人の心のつばぜり合いが、スパークする。
本作は、鎌倉を舞台にして剣道の心を描く映画である。主演の綾野剛は、体脂肪率を7%まで絞り込み、剣道世界チャンピオンとの2カ月にわたる特訓をしたという。近年、肉体美はライザップで買える時代だが、それを実用的に使う"美"がここにはある。
原作では、"研吾"(綾野剛)自身が、高校生・"羽田融"の天才性を見出すが、本作では"僧侶・光邑雪峯"に変更されている。光邑役の柄本明のポジションを活かすためと考えられる。それによって、"剣"(武士)、"鎌倉"、"禅道"というエレメントが有機的につながるのだが、"羽田融"が剣道を始める動機をはじめ、設定が部分的に破綻しているのが少し残念。
熊切和嘉監督と綾野剛は、「夏の終わり」(2013)以来のタッグになる。熊切監督は「私の男」(2014)で、モスクワ国際映画祭の最優秀作品賞を受賞しつつ、浅野忠信に主演男優賞をもたらしたが、今回の綾野剛の凄まじい演技も、これから評価されるだろう。
さて一方の村上虹郎は、昨年、柳楽優弥の演技が絶品だった「ディストラクション・ベイビーズ」(2016)に、柳楽の弟役で出演していた。積極的に作家性の高い監督作品に挑戦している村上だが、歌手UAの息子。目元からして母親にチョー似ている!
今をときめく菅田将暉が、綾野剛主演作品である「そこのみにて光輝く」(2014)をきっかけに注目されたように、この作品における村上虹郎の凄みにも、"綾野効果"が波及するかもしれない。
そしてその2人を支えるのが、共演者たちの"本気"である。小林薫、風吹ジュン、柄本明の安定度バツグンの演技がバックグラウンドを強固にしている。元AKBの前田敦子も出ているが出番が少ない。彼女も役を拾っているんだなぁと苦労を察したりして・・・。
セリフのない剣士の対峙を描いているため、映像と同じくらい音が重要なポジションを占めている。本作の音楽は、"あらかじめ決められた恋人たちへ"(←これがバンド名)の池永正二が担当している。熊切監督とは大阪芸術大学卒つながりだったりするだが、若手監督と組むことが多く、同期には山下敦弘監督もいて「味園ユニバース」(2015)の音楽も担当している。
(2017/6/9 /ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ)
綾野剛!!
酩酊する演技の難しさよ
前回の河瀬直美監督の「光」に続いて
「喪失からの再生」をテーマにした本作。
「怒り」で見事に
ゲイの役を演じていた綾野剛が
どういったカメレオンぶりを発揮するのか。
楽しみにしていたのだが。
うーん。頑張っていたと思うが
新たな綾野剛を発見!とまではいかなかった
「悲しい過去→酒→自暴自棄」の
不幸スパイラルはこの手の映画では
いわば、ありがちな設定。
となるとその挫折っぷりが
どれだけ共感を呼べるかに尽きるのだが。
つくづく「酩酊する演技の難しさ」を感じた。
そこが白々しいと人生の喪失に
説得力がなくなるから。
前田のあっちゃん。
シーンが少ない割に爪痕は残せてたかな。
なかなかの汚れ役。でもやっぱりまだ、
「元AKB」という定冠詞がつく。
柄本明。さすがの柄本明。
年とともにしゃがれてきたあの声がいい。
志村けんとコントをやってたかと思えが
深みのある渋い演技もできる。
貴重な役者さんだなと思った。
小林薫。かっこいいです。
いい俳優さんなのに。
ダメな父親になっていくまでの
見せ方が弱かったかな。
これは演出の塩梅。
今回の映画の一番の「めっけもん」は
村上虹郎。
ほとんど知らなかったが
UAの息子さんやねんね。
みずみずしい演技というか
ほとばしる演技というか。
それが主人公と合致して
妙に説得力があった。
昔見た「GO」で初めて
窪塚洋介を見つけた時と
同じような感覚。
なんか「惜しい」映画だった。
勝敗や生死を超えた境地へ
剣
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