ホワイト・バレットのレビュー・感想・評価
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【前半は頭を銃で撃たれた強盗容疑者、警部、女性医者の思惑が絡み合う病院内に緊張感が漂い、後半は一気呵成の銃撃戦。作品の転調が印象的な作品。】
■頭部に銃弾を受けた強盗容疑者・シュンが救急病院に搬送されてきた。
チャン警部は事件を解決するために取り調べをしようとし、シュンは手術も治療も拒否して仲間の助けを待とうとする。
混沌とする中、女性医師・トンは彼の命を救うために危険な行動に出る。
◆感想
・ベッドに横たわる強盗容疑者・シュンが随所に哲学者の言葉を織り交ぜて、周囲を翻弄するインテリゲンチャ的なスタイル。
・女医は、トンはシュンを助けようと手術しようとするが、拒まれ・・。
ー シュンは、仲間が助けるのを待つ時間稼ぎ・・。-
・一方、チャン警部はシュンの口を割らせようとするが・・。
<前半の、病院内の緊迫感から、後半一気呵成のアクションシーンに移る作品転調が印象的な作品。>
病院に変装して乗り込んだ3人の钟汉良の仲間。 病院のあちこちに爆弾を仕掛け、 ハンドガンで武装し、 病院の中は地獄絵図と化す。 先が読めないストーリー。 緊迫感が続く脚本だった。
動画配信で映画「ホワイト・バレット」を見た。
劇場公開日:2017年1月7日
2016年製作/88分/香港・中国合作
原題:三人行 Three
配給:ハーク
赵薇
古天乐
钟汉良
张兆辉
谢天华
邦題の「ホワイト・バレット」は白い弾丸か?
これでは意味が解らない。
原題の「三人行」の方がいいと思う。
赵薇は外科医。
自分の医者としての資質に大きな自負を持っている。
救えない患者がいる現実に対して葛藤がある。
古天乐は私服の警察官。
大きな悪と戦っている。
そのためには多少の法令違反はしょうがないと考える。
钟汉良は悪党。
犯罪行為や人の命を何とも思っていない。
警察官に頭を撃たれた钟汉良は病院に運ばれた。
赵薇が主治医となった。
古天乐は钟汉良が何かをしでかすと思い、
钟汉良への警戒感を緩めない。
病院に変装して乗り込んだ3人の钟汉良の仲間。
病院のあちこちに爆弾を仕掛け、
ハンドガンで武装し、
病院の中は地獄絵図と化す。
先が読めないストーリー。
緊迫感が続く脚本だった。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
「三人行」+林雪
原題「三人行」。
論語の「三人行」は三人いれば学ぶべき人が一人はいるという意味ですが、
この映画ではそのような意図はないと思われ、
三つ巴での騙し合いというサスペンスでした。
と思いきや、ラストにはちゃんと派手なアクション!
さすがジョニートーというところです。
そして、今回もまたラムシューは手錠の鍵を落とします。
ラムシューはこうでなくちゃ!
ヒーロー的な人物不在の面白さ
不穏で緊張感漂う90分弱。
お互いの思惑の探り合い隠し合いからクライマックスの長回し銃撃戦の緩急が気持ちいいし、ラストの後味も医療サスペンス感があって好きですよ。
やや不思議なリズムだけど面白かったです。
これがジョニー・トー!
スロー銃撃戦、最高でした。
舞台は病院。脳の手術を受けた様々な患者がいる。そこに警察との銃撃戦で頭を撃たれた強盗犯が救急で運ばれてくる。
脳外科の女医、警官、強盗犯が様々な事情から複雑に絡みあっていて緊迫感がずっと続いている。そんな中でも少し笑いも入ってたりするので、緊張が緩んだり縮んだりと忙しい。伏線も散りばめられている。
そしてスロー銃撃戦や階段落ち~ カタルシスも感じながらも、それがもう可笑しくて可笑しくて(笑)
ケツにナイフ刺されながらも奮闘したあやつにも山田く~ん座布団1枚♪ですw
話の内容は雑のように感じられるのに撮影技法で持っていく面白さにやられました。
ろくでもない患者と「私、失敗しないんで!」ばりなのに失敗する女医がいる病院の話で、こんな病院は嫌だ~!こんな主治医は嫌だ~!という話。(嘘です)
素晴らしかった
なんだかよく分からないけどずっと緊張感が漂っていて、何かが起こりそうと思っているととんでもないことが起こってびっくりした。
クライマックスの素晴らしいスローモーションは時間の流れがめちゃくちゃで、ところどころふざけている様子があり、目で追いきれてないような感じがして、何度かリプレイで見たい。
ただ、犯人側が、怪我人を奪還したいのか、警察をぶっ殺しまくりたいのか意図がよく分からなかった。しかし、そんなところにつまらない説明をつけないところがまたクールなところでもあった。
ジョニー・トー・チャンピオンまつり
笑いもスリルもお涙頂戴シーンも自由自在・お手のモノ、余裕のジョニートーワールドをたっぷり堪能できる一作!
病院を舞台に、医者、患者、警察官にテロリスト、たくさんのキャラクターがガチャガチャと動き回ってクライマックスへと進行していくドタバタサスペンス。
邦題やポスターからは中身が分かりづらいけど、雰囲気は少しコメディ寄りな「ブレイキング・ニュース」や「奪命金」、と言ったら近いかな?その辺のトー作品が好きなら劇場へGO!(^O^)/
階段落ちはエイゼンシュテインだったか
ハードなアクションかと思いきや意外、残酷不条理劇の色味を帯びた物語。縦横無尽に動くカメラが捉える病室での銃撃戦は勿論、その一歩手前で犯人が手洗いから逃走する際に起こる銃撃戦の動線設計が見事。発砲までのサスペンスも、発砲からのアクションも最高。
容疑者達が警察を見事に翻弄する行動が憎らし過ぎて堪らない!病院内だ...
容疑者達が警察を見事に翻弄する行動が憎らし過ぎて堪らない!病院内だけの物語と思えない深いストーリーと最後の銃撃戦は芸術性と残虐性を兼ね備えていて素敵デス☆
全編緊張続き。
鼻高な女性医師と悪徳警官がけっぷちの刑事とアタマのキレる殺人犯の攻防戦から始まってダレるところがこれっぽっちもないまま終盤戦へ。
銃撃戦に突入したら監督お得意の美しさとかっこよさと。
理屈なくタップリ楽しめるいっさくでした。
さすがはジョニー・トー 静と動の美学
ジョニー・トー(杜琪峯)監督の「ホワイト・バレット」(原題:三人行)を見た。「三人行」というのは孔子の論語の中の言葉「子曰、三人行、必有我師焉、択其善者而従之、其不善者而改之」(子曰く、三人歩めば、必ず我が師有り。その善き者を選びてすなわちこれに従い、その善からざる者はすなわちこれを改む)から取ったという。3人いれば、自分が手本にすべき人が必ずいる。他人の良いところを見つけたらそれを見習い、他人の悪いところを見つけたら自分の中のそういう部分を直していきなさい。そのような意味だと解釈している。
この映画の主人公で描かれている3人とは、医師と犯罪者と刑事だ。医師(ヴィッキー・チャオ 趙薇)は17歳で大陸からやってきて、苦労して英語と広東語を身につけ努力して脳外科の有能な医師に上り詰めた。しかし、最近は不調で、手術の失敗を患者からなじられ、さらに別の手術では失敗から患者を死なせてしまう。しかし、彼女の根本にあるのは目の前にいる患者を救いたいという一心で、偏狭なまでに医師としての理想を貫いている。刑事 (ルイス・クー 古天樂)は部下の不始末を隠すために、さらに不正を重ねていく。部下が違法な取り調べで犯人を撃ってしまったたのだ。そして刑事は、その事実をもみ消そうと、違法な証拠をねつ造しようとしている。犯罪者(ウォレス・チョン 鍾漢良)は、その銃弾を頭に受けてしまった男だ。弾は前頭葉にとどまっているが、あたり所がよかったのか、脳の中心的な機能は失われていない。教養があるらしく、早口で哲学者たちの言葉を口走るような男だ。彼はある目的のために執拗にひとつの電話番号を繰り返す。そんな3人が、誰から何を学び、何を改めようとしているのか。
映画はその3人の思惑と駆け引きで、静かだが、緊迫したシーンが続く。舞台はほとんどがひとつの病院の内部だけで、外部での出来事は描写されない。ラストのクライマックスまでは、特に大きな事件や銃撃戦があったりはしない。病院内でのこまごまとした駆け引きや、周辺で起こる別の患者をめぐるさまざまな出来事が淡々と描かれる。しかし、もちろん、それらのこまごまとした事実がすべて伏線になることは監督も観客も周知の上だから、緊迫感は途切れることはない。3人の場面を交互に描いていくのだが、そのカットのつなぎ方がうまくて、いやが上にも緊迫感を高めていく。たとえば、3人の様子をそれぞれズームで寄るカットでつなぐ。ここで盛り上がる観客の緊迫感は普通ではない。
ラストのスローモーションのアクションシーンが高く評価されているようだが、そこへ行くまでの(比較的)静かな部分に私は引き込まれた。ジャンル映画でありながら、あるいはジャンル映画であるからこその、この緊迫感とカタルシスを楽しんでほしい。さすがはジョニー・トー。
アンバランス
シリアス寄りのストーリーにコメディ要素を入れるのは良いが、ご都合主義を通り越して誰一人まともな行動をとらず理屈も辻褄もあったものじゃない。
もっとコメディ色を強くして、面白可笑しくしてくれたら良いのに、悪い方の香港テイスト。
ノイズだらけでゴチャゴチャうるさく、それでいてすかしていて笑いどころのないコントをみた気分。
信頼に足る監督。
一貫して香港で映画を撮り続けているジョニー・トー。たくさん撮っているわりには、きちんと観ることができていないのが現状であるが、さすがの出来であった。
病院内だけで物語が進行する。登場人物が多彩で群像劇の様相を呈している。上映時間が88分。
これらだけで相当ポイントは高い。
脚本の出来ももちろん悪くない。ただ、もう少しスタイリッシュでもよかったのかな、とも思う。
銃撃戦のシーンは映画史に残りそうな名シーンになっている。
さらには「戦艦ポチョムキン」、もしくは「アンタッチャブル」へのオマージュと思われる階段のシーンもあって、かつての名画へのリスペクトを忘れていない。
胸を張って、人に薦められる映画だと思う。
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