「言葉に表せない感覚」オン・ザ・ミルキー・ロード ジョーカーさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉に表せない感覚
エミールクストリッツァ監督の舞台挨拶付き試写会にて。
なかなか難解だった。一つ一つのシーンに深い意味があるように感じた。何度も見るたびに解釈が変わる作品である。
監督は舞台挨拶で、「近年は人間は動物が殺されるシーンをみると感傷的になる。」とおっしゃっていたが、つまり動物がここまででてくるのは“人間と同義”という位置づけだから。ニューヨークのような喧騒と、山奥のような自然を見事にミックスしているのだ。
とはいえ、序盤は盛り上がりに欠けてしまうのは事実。とにかく深くのめりこみたい人向けだと思う。戦争という悲惨な状況の中での休戦という対比が上手かったりはするのだが、いまいち盛り上がりに欠ける。
主人公の恋心が見えるシーンは、本当に簡潔かつ分かりやすく。とても見やすかった。
さてさて、これから“愛の逃避行”が始まる。ここはまさに笑いあり、ハラハラあり、興奮あり、涙ありというシーンとなる。ヒロインの女性はある理由で将軍に追われてるわけだが、その追っ手3人組がとにかく笑える。とにかくくだらないし、その演出もうまいので笑いがこぼれてしまう。
もちろんそのように笑えはするのだが、基本はシリアスに作っているため、逃走劇としても楽しめるのだ。
実はエミールクストリッツァ監督作品は本作がはじめてであるので慣れていなかったのはあるが、ラスト10分が難解でかなり苦戦した。
しかし、全体的にポップな雰囲気もあるし、音楽もノリがいいのでそれだけでも十分楽しめる。
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