「未知との遭遇は全世界共通」メッセージ 21歳®︎さんの映画レビュー(感想・評価)
未知との遭遇は全世界共通
未知との遭遇は全人類が体験していることだなと思った。
人は生まれた瞬間、母親という未知なるものに出会う。
それはまた、初めて我が子を見た母親と父親も同じであろう。
主人公の未来のフラッシュバックのシーンで、娘が馬を怖がるシーンがあった。
子供がひどく怯えるのに対し、大丈夫よと母親は優しく馬を撫でていた。
私たちは綱に繋がった馬が人に大きな危害を与えないことを経験上知っているから、
軽々しく大丈夫よなんて言えるのだが、「最初」はどうだっただろうか。
私たちはきっと馬が、母親が、人類が怖かったのではないだろうか。
私は少し前に姪っ子と『千と千尋の神隠し』を見た。
私は大好きな作品なので胸を張って映画を姪っ子に見せたのだが、
姪っ子は、終始警戒心剥き出しでテレビの前に座り、神様やカエルが出てくる度に私の顔を見て何かを確認していた。ただカオナシが出てきた時だけは走って部屋から飛び出していった。
私はその時、幼い頃に『千と千尋の神隠し』を弟と一緒に怖がりながらも見ていたことを忘れていたことを、思い出した。
私たちは世界に慣れる。
それが持つ怖さも忘れ、にこやかに生きている。
琉球の人からした日本人、戦後の日本人からしたアメリカ人もまたそうであろう。
宇宙船の襲来に慌て、暴動を起こす世界の状況がニュースで流れていて、
私は宇宙からやってきた彼らよりも、そんなことで暴動を起こす人類に惹かれた。
昨日までにこやかに接してくれていた店員が今日、銃で私を殺さないとどうして言えるのか。
私たちは世界を知った気になっているから、
知らないことが起きるとどう対処していいかわからなくなる。
言語に意味がないことも紙幣が嘘であることも国家や社会がかりそめであることも
生まれた時はそれらに何の意味もないことを知っていて、世界が嘘で成り立っている恐怖を知っていたのに
だんだん地球人色に染まっていって
その結果があの暴動の原因なのかなと思った。
人を信じるなど、なんてくだらない行為であるか。
食わなければ食われる!動物的本能はどこへ行ったのか。
結婚した相手が浮気をしない確証は?子供は五体満足で生まれる?どうせ全てが順調に行っても最後は死ぬのにどうして人は人を信じて人と共に生きようとするのか、
私は分からない、まだ分かりたくない、でも映画を見て思ったことは、思い出したことは、
生まれた時の未知との遭遇にて、私の恐怖は瞬時に安心に変えられた。
母親に抱きしめられたことにより、その場所が安全な場所になった。
嘘でできた恐怖の世界において、それでも嘘と人を信じたいと思うのは、
それらが自分に安心を与えてくれることを私たちは一番最初に経験したことだからではないだろうか。抱きしめられるあの衝動を忘れられず、どれだけ傷つこうと終わりの未来が見えようと、私たちは人として生まれた限り、嘘と人を信じていく生き物なのかもしれないと、『メッセージ』という映画を見て感じた。