劇場公開日 2016年11月18日

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「これを"フェミニズム・ミステリー"と名付けたい!」ガール・オン・ザ・トレイン MPさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5これを"フェミニズム・ミステリー"と名付けたい!

2016年11月8日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

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電車の車窓に頭をもたげ、過ぎていく景色をまるで白日夢を見るように、ただぼんやりと眺めるエミリー・ブラントの下唇が、不摂生からか、少し荒れている理由が、やがて、この推理劇の鍵になって行く。車窓から目撃した若妻の不倫現場や、直後に発生する殺人事件、そして、それが原因で関わることになる別れた夫とその妻の一見幸せそうな夫婦生活も、すべて偶然ではなく、主人公の記憶の隙間、言い換えると、白日夢のあやふやさを利用した必然だったことが判明する。そんな推理劇の意外なオチより何より、最後に観客の目に焼きつくのは、虐げられた女性たちが"ある凶器"を使って反撃に転じる場面。その強烈さ故に、あえてこれを"フェミニズム・ミステリー"と名付けたい。

清藤秀人