MIFUNE: THE LAST SAMURAIのレビュー・感想・評価
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何故彼はスターだったのか?
Amazon Prime Videoで鑑賞。
何故、三船敏郎は日本を代表するスターとなったのか。その理由が数々の名作の名場面と共に紐解かれていく。三船が俳優になる前については全く知らなかったので、とても興味深かったです。特攻隊を見送る立場にいただなんて…
黒澤明との蜜月関係とその終わりが本編の大部分を占めていました。三船を見出した黒澤の眼力はすごいし、その期待に応えスター性を磨いていった三船もまたすごい。
三船の演技は何もかもを曝け出して荒々しく、且つ繊細でどこにも隙が無いと感じます。生まれ持った素質もあるでしょうが、それを引き出し導いた黒澤との関係があってこそ。
そんなコンビの終わりが切ない。「赤ひげ」以降の黒澤作品に何故三船が出ていないのか気になっていただけに、こう云う理由があったのかと、映画人の宿命に想いを馳せました。
晩年の三船敏郎は「三船敏郎」を演じていた、と云う言葉がすごく印象に残る。世間の期待するスター像と年齢のギャップに苦しんだ晩年だったのかも。しかし、最後まで俳優としての仕事に向き合い、今も愛される世界的スターとして永遠の存在となったことは凄まじい功績だと思いました。
三船の一挙一動から溢れる生き様に魅せられました。その佇まいや存在感は唯一無二であり、まさに最後の侍。決して驕らなかった人柄と仕事への真摯な態度は見習いたくなる。
その偉大さはインタビューに応える面子の豪華さからも偲ばれ、彼の魅力をある者は想い出とし、ある者は追い求める。今後彼を超える俳優は出てこないと確信させられました。
三船敏郎というレジェンドのルーツを辿る
日本人であれば誰もが知っている伝説的俳優「三船敏郎」。彼の生涯を追ったドキュメンタリー映画ですね。
私は物心ついたころには既に彼は亡くなっていたので、彼の出演作はリアルタイムに観たものは一つもないですし、昔の邦画をあまり観ないので黒澤明監督作品『羅生門』が唯一観た映画だと思います。ただ、『羅生門』での三船敏郎は山賊の役だったため、あんまり「SAMURAI」っていう印象はありませんでした。
本作を鑑賞した結論ですが、「三船敏郎」という役者の生涯、そして「チャンバラ映画」の栄枯盛衰を知るにはちょうどいい資料のような映画に感じました。資料としては面白い(興味深い)んですが、正直映画的な面白さは全く無いですね…。三船敏郎の生涯と日本映画の歴史を、インタビューを交えてかなり淡々と説明するタイプの映画だったので、「映画観ている」というより「映画の勉強している」ような感じ。しっかり深堀りした内容になっているため、三船敏郎や黒澤明が心底好きな人が見ればめちゃくちゃ楽しめる気がします。しかし、間違いなく私のような「『羅生門』だけ観ましたぁ~」という浅学非才なニワカ映画ファンは、この映画のターゲット層ではないです。
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日本を代表する伝説的俳優「三船敏郎」。世界的にも知名度の高い彼の生涯を、彼と親交の深かった人物や、彼のファンでもある映画監督らへのインタビューによって紐解いていく。
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多分、私のように最近映画を好きになった人は三船敏郎を理解している人はごく僅かだと思います。彼の作品はかなり多く、Wikipediaで調べてみると多すぎて「三船敏郎の出演作品一覧」という専用ページまで設けられているくらいです。1947年の銀幕デビューした彼は1995年に最後の出演作『深い河』までの約50年に渡って、非常に多くの映画やドラマに出演しています。そんな彼の出演作品を網羅するのは到底不可能であり、現代の私たちには当時の三船敏郎ブームがどれほどのものだったのか、想像することしかできません。
以前、マイケル・ジャクソンのドキュメンタリー作品である『THIS IS IT』を鑑賞した時にも「マイケル・ジャクソンという存在を伝聞でしか知らない人間には今一つピンと来ない」と感じたんですが、本作もまさにそんな感じでした。三船敏郎や黒澤明という伝説的映画人のことを肌で感じた人でなければ、本当の面白さは理解できないタイプの映画だと感じました。
私はイマイチ乗れませんでしたが、映画の歴史に興味のある方であれば、間違いなく観ておいて損はない作品です。「映画が好き」という方は、ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか。
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