「信仰の意味について深く考える契機となっている」沈黙 サイレンス 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
信仰の意味について深く考える契機となっている
キリシタンの弾圧に対して殉教する者、棄教する振りをして迫害を避ける者、神は救ってくれないと結論を出す者。様々なキリシタンの姿を通じて、信仰の意味について問う映画。
日本で囚われているキリスト教の師を助けるという純粋な気持ちから、弟子2人は日本に来た。その彼らが日本におけるキリシタンの惨状を見て、そして自分達も迫害に遭った経験をしたことで、これまで以上に彼らがキリスト教の意義について深く考える契機になったと思う。と同時に、それらの経験によって純粋な信仰心を持てなくなったのだから、知りすぎたことがかえって不幸につながっていると言える。救いをもたらすはずの信仰が、かえって彼らを苦しめることになっているのが哀しい。
今作は、外国人の監督ながら当時の日本の様子を上手く再現できていると思う。また、OPとEDでひぐらしの鳴き声や雨の音をBGMとして使用しているのが、日本の夏を感じさせられて良かった。
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琥珀糖さんのコメント
2024年5月11日
根岸さんはマーティン・スコセッシ作品の
レビューが多いですね。
「ディパーテッド」は私もトニー・レオンとアンディ・ラウの
オリジナルに軍配ですが、あの映画でアカデミー賞受賞したのですものね。
この「沈黙サイレンス」も、よくぞここまで日本のキリスト教布教の
宣教師の苦難に取り組んで頂けたかと、驚くばかりです。
最新作の「キラーズ・オブ・フラワームーン」もとても好きです。
スコセッシのバディはデカプリオですよね。