「キリスト教が奴隷貿易やってたのはスルー」沈黙 サイレンス 佐ぶさんの映画レビュー(感想・評価)
キリスト教が奴隷貿易やってたのはスルー
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単純に、キリスト教が善、弾圧する幕府が悪とはなっていないのはスコセッシ監督の気概が感じられる。しかし、そこが限界だ。キリスト教(カトリック)が加害者である事を隠したままでは単なるプロパガンダ映画にしかならないが、事実を描くと公開出来なかっただろう。
この映画を最後までみた人は、2人の宣教師が神を捨てたのをみて少し情けなさを感じたのではないだろうか。苦しむ信徒を助けるために信仰を捨てるというところまでは良い。しかし、その後の彼らは捨てただけではなく幕府に協力的過ぎる。何故ここまで?と思わずにいられない。
しかし、これは映画では表現されていない事実を知ると納得できる。当時、日本にきていたキリスト教はカトリックとプロテスタントに分かれるが、猛烈に弾圧されていたのはカトリックだけだ。理由は簡単でカトリックは日本人を拉致して海外に奴隷として売り払う奴隷貿易に加担していたためだ。被害者は50万人とも言われ、映画の中では100%被害者のように描かれている日本人キリスト教徒は拉致の直接的加害者でもあるのだ。
ふたりの宣教師は脅しだけに屈したわけでは無く、日本人による論理的説得によりキリスト教と決別したと考えれば、その後の彼らが幕府に協力的だった事も辻褄があう。
この映画をみた日本人は、決して幕府が悪でキリスト教が善ではないことを知って欲しいと思う。
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