劇場公開日 2017年1月21日

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「異国による精神の侵略から国を守るためには、ここまで苛烈な弾圧をしないといけないのだろうか。」沈黙 サイレンス かやはさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5異国による精神の侵略から国を守るためには、ここまで苛烈な弾圧をしないといけないのだろうか。

2017年3月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

難しい

​国体を維持するために特攻隊という非情な手段をとった戦時中を思った。守りたい気持ちはわかる。でもやり方は間違っていると思う。異国の脅威に民草を利用する為政者の傲慢さ。日本の統治が民草に満足感を与えるものだったら、基督教を信仰することもなかったのだろうから。
国という公、宗教という公。だが果たしてイエスは、公のために教えを広めたかったのだろうか。彼が救いたかったのは、あくまで目の前で苦しんでいる隣人ではなかったのだろうか。基督教は確かに強い。その強さが人を苦しめる。本来のイエスの教えでは、踏み絵を踏んではいけないなどとは言っていないだろう。形式的な信仰から、魂に基づいた真実の信仰への転化。「転ぶ」ことで、新たな形を見つけたのかもしれない。形式に捉われず、ただひたすら神を信じたキチジローこそが、イエスが思った真の信仰者だったのでは無いだろうか。

ほとんが自然音のみのBGM、コントラストの高い絵作り、真俯瞰からの映像など、印象に残る演出が多かった。

かやは