劇場公開日 2017年1月21日

  • 予告編を見る

「蝿が舞う」沈黙 サイレンス Kjさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0蝿が舞う

2017年1月28日
iPhoneアプリから投稿

「死んだら天国に行ける。」小松菜奈が発するこの台詞は、人間社会の価値観を根底から覆す考え方。否応なく、現代において自爆するムスリムを想起させる。この矛盾を突きつけられた現代人、特にキリスト教徒はどのように考えるのだろうか。イッセー尾形の貼り付けたような柔和な表情から発せられる施政者の論理は、ただの糞役人のたわ言で扱うことができず、多様な個々と社会をどうやって納めるべきか苦慮する現代において一定の説得力を持つ。窪塚洋介は、千と千尋のカオナシを想起させられた。弱くしか生きられない者。志強く死を受けいれない。その対極に存在する塚本晋也や小松菜奈、しかし、その裏に自爆テロと同じ発想があるのであれば、何を正としよいのやら、、観てるものを混乱させる。
非常に高いテーマ性を問うた作品のように思う。舞台が日本設定だから日本人としては、アラ探しをしてしまうのは仕方ないが、そういった視点を拭わせるだけの骨太な作品である。

Kj