「If you must blink, do it now. これスゴいよ!」KUBO クボ 二本の弦の秘密 アキ爺さんの映画レビュー(感想・評価)
If you must blink, do it now. これスゴいよ!
正直スゴいモノを観たという感想です。これがストップモーションとかあり得ない。もうCGかと見間違うような画面の素晴らしさ。このヌルヌルした動きを手作業でやってるとか意味がわからん!製作者本気で頑張ってます。下記パンフレットから一部引用になりますが・・・
⚫一週間で制作される尺の平均 3.31秒
⚫クボの表情の数 4,800万通り
⚫1つのカットで使われた顔の最大個数 408個
⚫落ち葉の船に使われたカラーペーパーの数 250,000枚
⚫落ち葉の船のシーンの撮影期間 19カ月・・・等々
物凄い努力の結晶。うん、頭がおかしくなりそうなレベルです。ホントCG でやったが全然楽なのに、ストップモーションへのこだわりには狂気すら感じます。これメイキング見たいわ~。メイキングだけでもドキュメンタリー一本撮れそう。
内容も日本がベースのストーリーにしては、あまりヘンテコ日本になってなくって良かったです。トラヴィス・ナイト監督は幼少の頃から何度も日本を訪れてて大の日本好きのようで、これまたパンフレットからの引用なのですが、インタビューで「宮崎駿は自身が魅了されたヨーロッパ的な物を統合して、自身の映像作品の中に織り込んでいる。宮崎がヨーロッパに対して行った事を僕は日本に対してやってみたかったんだ。僕に取って本当に重要な場所と文化についての僕なりの解釈を表現したかったんだよ。」との事です。なんだかイチ日本人として、そんなに日本を気に入ってくれてありがとうと言いたい!!
ストーリーもクボの冒険と成長譚として、よくある主題ながらも上手く出来てたと思います。確かにキャラクターが日本的な外見の割りに性格は西洋な感じですが、でも考えてみれば宮崎作品だって他のアニメだって西洋人の外見で日本人的な性格のキャラクターってよくいますよね。クボとサルとクワガタのやり取りメッチャ好き。はしゃぐ子供と親父を眉間にシワを寄せながらも暖かく見守る母親って感じです。それぞれのキャラが立ってて、ちゃんと活躍してるんですよね。こういう話好きやわ~。最後はちょっとビターでしたがジンッと来ました。
そういえば声優もスゴい豪華俳優でしたね。クボの声はアート・パーキンソン。子供なのでそこまで有名ではないかも知れないですが、ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のリコン・スタークです。サルは近年最強の女性と名高いシャーリーズ・セロン。「マッド・マックス」でフュリオサ演じて以来すっかり強い女性のイメージですね。クワガタにはマシュー・マコノヒー。あまりコミカルなイメージないんですが、コメディ・リリーフ的な役割バッチリでした。月の帝にレイフ・ファインズ(ハリポタのヴォルデモード!)、更に闇の姉妹はルーニー・マーラとキャラクター少ない割りにはやたら豪華です。
でも本作ってアメリカでの上映は2016年なんですよね。日本に来るまで一年以上かかってます。早々と作品の情報知って心待にしてたのですが、いつまで経っても日本に入って来ないので、日本を描いた作品なのに日本では公開されずDVDスルーになる・・・どころか輸入すらされないか!?と思ってドキドキしてましたよ。実際アメリカで公開されても日本に輸入されない作品は沢山ありますし、確かにたいしてヒットしてないんですよねぇ、残念ながら。無事に配給してくれたGAGAさん、ありがとうー!