「劇場で観賞後、昨日DVDで!」関ヶ原 johnny B badeさんの映画レビュー(感想・評価)
劇場で観賞後、昨日DVDで!
昨日、発売当日に再観賞しました。劇場以来の2回目です。
さまざまなレビューサイトとかでボロクソにかかれていたおかげもあってか、日本語字幕もあって、初出の役者には役名が出るなどの配慮も。まあ、薩摩弁は当然字幕でもまったく理解できませんが、あれは「日本全国の武将が集まった大いくさ」を表現するための演出だから、雰囲気が伝わればいいのだと思う。
セリフ以外では、とかく「司馬遼太郎先生にあやまれ」的な論調が多いですね。思い入れがあればこそなので気持ちは痛いほどわかるんですが、おそらく「大人の事情」という制約の中で、「2部作、3部作にすることはできない」「2時間半程度に何とかまとめろ」「ヒロインはもっと現代にマッチするように改変を」などを求められて、それをクリアした結果だと思うんですね。
もちろん、直江状や小山評定、伏見城攻防戦、黒田如水の九州侵攻ほか、見たかったエピソードはいっぱいありましたが、皆さんとは逆で「よく、あの内容をこの時間内で収めたな」と評価してあげたい気分です。家康が母衣を編みながら語るシーンとかもきっとかなりの思い入れがあって入れたんだろうな、とか。人気の高い「島津の退き口」だって、「じゃ、そろそろ帰るか」「そだね」「どけオラー!」みたいなところでばっさりカットしてるので、かなりの確信犯だと思いますし。
でも、なにより重要なのは、「誰も見たことがない関ヶ原」という謳い文句ですよ。これはきっとあれだ。「劇場での本格関ヶ原作品の初上映」と言うことに加えて、「司馬遼の原作にもない新解釈」という部分が大きいと思うのですよ。
それが、あれかと。今回の金吾の扱いかと。
「それだけじゃ、ちょっとなー」というのが正直な感想でした。(かなり昔にかかれた)司馬原作に忠実である部分と、最新の研究の成果みたいな部分の狭間にジレンマを感じましたわ。「あまり大きく変えすぎると原作でやる意味ないし」、みたいな。
個人的には国広富之演じる金吾が、捕縛された石田治部少をこっそり覗いて見つかって怒られるっていうドラマ版の演出がかなり好きだったので、そこも少しがっかりしたかな。
あと、「朝鮮人の大砲職人が出てくるのが意味不明。彼の国の圧力で関ヶ原の歴史まで歪曲しようというのか!」なんてエキセントリックな意見も多くあったようですが、それは考えすぎというものでしょう。製作者や監督にそういう思想性があるのなら別ですが。そうでなきゃ偏見。
左近は豊臣政治を憎悪していて、その遺物である「朝鮮出兵時にやってきた大陸の若者」とからめることで、時代の永続性を表現したかっただけではないかと思います。でも、島左近は通説どおり銃で撃たれるシーンがあるので、自分のなかではあそこで亡くなってて、そのあとはファンタジーという割り切り方をしていますわ。
でも、改めてみると、みなさんがおっしゃるとおりやっぱりみんな早口で。リアリティというよりも「シン・ゴジラ」なのかなと思います。そして終盤の展開が速い。金吾⇒敗色濃厚⇒左近との別れ⇒爆死⇒逃亡⇒捕縛⇒「大一大万大吉」までが早い早い。本当にそれは思いました。
背景とかを深く知らずに映画を観るのもいいと思います。すべての映画を観る前に必ず予習なんてできませんから。で、観賞して何か感じるものがあったら、終わってから調べればいいんです。昔は図書館とか書店とかビデオで関連作品を探すとかしかなかったけど、今はWIKIとか便利なものがいっぱいあるんだから。「分からない」「理解できない」「切捨てだ」と断ずる前に、そういう映画の愉しみ方をしてみたら? 興味のなかった歴史も好きになるかもよ?