「何を見せたいのか?が曖昧」関ヶ原 猫シャチさんの映画レビュー(感想・評価)
何を見せたいのか?が曖昧
原作未読、戦国時代の知識はそこそこの自分ですが、関ヶ原を描くという意味では、合戦に至るまでの描写は楽しめました。1つ1つの台詞に情報量が多く、かつ「駆け出し男~」でも見られたテンポの良い台詞回しで進むので、色々考えながら話に追い付いていく感じが楽しい。ただしあの速さの台詞を聞き取れるのは、人名や地名などの固有名詞が頭に入っているからなので、戦国の知識が無いお客さんは序盤で早くも置いてけぼりになるかもです。
合戦シーンそのものは、映画館ならではの大画面と音響でゾクゾクする反面、全体に説明不足で何がどうなっているのか分からないし、盛り上がる美味しい場面を何故かやらない(原作に無いからでしょうか?せっかく麿赤兒さんがいるのに、島津もパっとしない・・)うちに終わってしまい、「え・・これで終わり?」という感じでした。正直、これなら「葵三代」の関ヶ原回の方が楽しめましたね。
三成を悪い人に描きたくないのは伝わりましたが、それなら家康を悪として描けているかというと、そういう訳でもなく、三成vs家康の対立軸としてドラマが成立していない。じゃあ三成と予告で出てきた女忍びの物語が軸かと思えば、そっちもなんか薄い。個々の役者陣はいい演技をされていたので、見てて苦痛ではありませんが、見終わった後に何も残らないので、参ったなーというのが正直な感想です。
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