劇場公開日 2017年5月27日

  • 予告編を見る

「安定の面白さ、笑えて泣けて考えさせられる社会派人情喜劇でした」家族はつらいよ2 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0安定の面白さ、笑えて泣けて考えさせられる社会派人情喜劇でした

2017年6月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

楽しい

今回もまた前作同様に、笑えて考えさせられて、大いに楽しませてもらいました。
しかしさすがは山田洋次監督でしたね、二作目にして既にもう定番化してきた辺りは、さすがは長期シリーズ物の第一人者、今後もずっとこの家族の揉め事を見ていたい心境に駆られてしまいましたよ。
毎度時事ネタを盛り込みシニア層を中心に誰もが安心して楽しめる社会派人情喜劇シリーズ物として、出来る限り続けてもらいたいです、まあ山田洋次監督もご高齢なんで、どこまで出来るかは分かりませんが・・・。
でも監督自身がご高齢だからこそ、ある種リアリティのあるネタを提供できるところもあると思うんでね、今後もリアリティのあるネタをリアリティの無い家族で見ていきたいなと、そう思わずにはいられない作品でした。

しかし前回の熟年離婚騒動に続いて今回は高齢者ドライバー問題&孤独死・無縁社会問題&介護問題に切り込むとは、これまた本当にタイムリーな話題でしたねぇ。
私の父もまだ先かなと思いつつもそろそろ免許返納を考える時期に近づいているので、何かと考えさせられた話でしたよ。
言えば言うほど反発するのは明白ですから、ホントこれは他人事ではないなと・・・。
それにしても橋爪功の演技が絶妙過ぎて、思わず見入ってしまいました、イライラするけどどこか憎めない絶妙な線、あんなベコベコな車見たら普通ねぇ・・・そんな橋爪功オヤジVS平田家の面々の攻防は、前作同様、いや前作以上にパワーアップしていた印象で、大いに楽しませてもらいました、笑いどころも前作以上でしたね。

一方の高齢者の孤独死&無縁社会問題に関しては胸が締め付けられる思いで一杯になってしまいましたよ・・・。
働いて働いて働いた末に、誰にも見送られず孤独に死んでいく、悲しいけどそれがそこかしこで起きている現実なんですよね。
こんな国でいいのだろうか、これで豊かな国と言えるのだろうか、思わず考えさせられました。
丸田を演じた小林稔侍の切なさを煽る演技がこれまた絶品だったので、尚更感情移入させられてしまいましたよ。
その顛末にこれでもかと笑いを入れつつ、泣ける要素もしっかりと盛り込む辺りは本当に素晴らしい構成でしたね、揉めてばかりの平田家の本質が垣間見れる終盤の展開も温かくて好きだったなぁ~。

ペットが前作と替わっていたり、同じキャストが違う役で登場したり、妙にアバウトなところも何かいい!
そしておいしそうな鰻重が、今回も・・・と言った前作から引き続きの小ネタも楽しかったです。
このシリーズは、家族あるあるを中心とした身近なネタだからこそ尚更笑えるですよねぇ。
まさしく古き良き時代の映画かな、もはや絶滅危惧種的存在ですが、こう言う映画も必要だと思うので、続編を期待したいものですね。

スペランカー