「「死」を「笑い」に転化する、山田洋次監督の大胆な試み」家族はつらいよ2 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
「死」を「笑い」に転化する、山田洋次監督の大胆な試み
「男はつらいよ」のような人情喜劇を、「東京家族」のキャストで。そんな着想で始まったシリーズだが、山田洋次監督の映画はルーティンでもなければセルフパロディでもない。第2作で最も驚かされるのは、ある登場人物の死を描き、そこから生じる動揺や混乱をあの手この手で笑いに転化する試みだ。死から笑いへ、このギャップこそが意表を突く大爆笑の鍵になると踏んだのだろうし、それが見事に成功している。
高齢者をめぐる時事的な問題を取り込む手並みも確かだ。判断力の低下による危険運転、身よりのない独居老人、無縁仏……。テレビや新聞ならネガティブな文脈で取り上げられる話題も、「家族はつらいよ2」に出てきた途端、しっかりと笑いに転がっていくから痛快だ。もちろん、単に面白おかしく描くだけではない。そうした表層の奥にある日本社会の根深い問題を見つめ、為政者の怠慢や無策に抗議する姿勢があるからこそ、笑いにキレがあるのだ。
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