「昨晩見終わったばかりのはずなのにもう内容があまり頭に残っていない。...」映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ くまくまもんもんさんの映画レビュー(感想・評価)
昨晩見終わったばかりのはずなのにもう内容があまり頭に残っていない。...
昨晩見終わったばかりのはずなのにもう内容があまり頭に残っていない。
強いて言うなら、人はいつでも死と隣り合わせであり、だからこそ少しでも素直に自分の気持ちと向き合い、それを相手に伝えることで、いずれ死ぬ友人や恋人、家族とのお別れをきちんとしてあげることが出来るのではないだろうか、という感想を抱いた。
主人公の男も女もともに一癖どころか五癖くらいある曲者であり、なかなか人に心を開けなさそうな印象が強かった。実際、最後には結婚する二人だが、そこに至るまでお互いに心を許すことなく、壁を数枚挟んで会話をしている様だった。最後の最後もまだ少し壁がある様に感じた。
最初は互いに居場所がない孤独な都会で生きる若者であり、路上ライブをする女の人もあれは売れないね、と女主人公に言われる始末であった。しかし最後には似た部分のある二人がお互いを互いの居場所とし、冒頭で女主人公が一人で見た飛行船を二人で見、路上ライブお姉さんはメジャーデビューを果たした。
物語としては一応ハッピーエンドなのだろうが、男主人公の死んだ友人に焦点を当てるとかなり悲しい気持ちになる。ガールズバーで連絡先を聞いた、惰性なのか本当に少し気になっていたのか知らないが街で数回男主人公と出会い意識しているかのような演出がされていた女主人公と1回デートをしただけなのに、死んだ男主人公の家にはそのデートの際に撮ったと思われる女主人公との2ショット写真が丁寧に額縁に入れて飾られていた。普通だったらよほどの運命を感じていたとしても1回のデートでそこまでするかと思うが、彼にとっては、都会の工事現場で肉体労働者としてこき使われるような男たちにとっては、それだけ居場所がなかったのであろう。現に彼のお葬式には職場の人間と女主人公くらいしか見受けられなかった。この男主人公の死んだ友達こそが、この映画のテーマを伝える上で一番大切な働きをしたのではないかと私は考えている。
アニメ映像を入れたりシーンチェンジの工夫など色々と演出のこだわりは感じたが、これに関しては内容を伝える上でなにか効果があった様には感じ取れず、製作者の自己満足のように見受けられた。テーマ性や役者さんの演技はよかったが、特にこれといって印象の残る作品ではなかったかなということで、星を少し低めに設定させてい頂いた。