「最高にじんわりと沁みた」映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ spoonさんの映画レビュー(感想・評価)
最高にじんわりと沁みた
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大勢の人が目を背けながら生きている日本社会の現実を愚直なでに見せつけながらも、観たあとに心がじんわりと晴れやかになる映画でした。
セリフ一つ一つがストレートなまでに心に突き刺さり、間も、映像の映し方や切り取り方、全てにおいて無駄な所がなかった。鳥肌が立つくらいに。
工事現場で雨が降ってきて、資材をブルーシートで覆うシーンは、今の見たくない現実を覆っているように感じた。
美香:半分しか見えないんでしょ。
慎二:うん。
美香:世界が半分しか見えないんだ。
慎二:うん、変だろ。
美香:でも半分見えれば上出来なんじゃない?普通半分も見えないから。
半分も見えていない人の方が多いのだろうな。半分見える人の方が、純粋だからこそ生きづらさを感じるこの世界。
現実に幻滅し嫌悪感さえ感じるからこそ、「愛している」という言葉が薄っぺらく感じる。本当は純粋に信じたいのに。信じられたらどんなにいいか。
でも、生きづらいこの世の中で、慎二と美香のように同じ事を感じている人同士が出会えたなら、こんな世界でも明日がどんなに明るくなるだろうか。
生きづらさを感じている人に、そんな中でも明日を生きる力を、この映画から得て欲しいなと思いました。
出演:石橋静河 池松壮亮 松田龍平
監督:石井裕也、原作:最果タヒ、脚本:石井裕也
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