「ちくわが元気なうちに闘え!」あゝ、荒野 前篇 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ちくわが元気なうちに闘え!
2021年、新宿には爆破テロも頻繁に起こり、近未来らしさを表現している。そんな社会を背景にして、社会奉仕プログラム法が施行されて、奨学金を受けている者、返済中である者は1年間の介護活動か災害平和貢献をすれば奨学金を免除されるという。国際貢献プログラムという徴兵制も見え隠れする時代なのだ。もちろん徴兵制度反対集会などデモも起こり、対テロ阻止行動地区などというノボリも立ち並ぶ。一方では自殺も社会問題となっており、新宿にある西北大学では自殺防止研究会なるサークルも存在し、自殺防止フェスティバルという奇妙な催し物まで開催されている。
そんな時代。少年院から出所したばかりの沢村新次(菅田将暉)は振り込め詐欺で裏切った裕二に恨みを抱いており、プロボクサーになった彼に対して殴り込みをかけるが、あっさりと返り討ちにあってしまう。そこに通りかかった散髪屋で働く二木健二(ヤン・イクチュン)が助け、それを見た元ボクサーの堀口(ユースケ・サンタマリア)が2人をスカウトする。新次はひょんなことから芳子(木下あかり)と関係を持つが、所持金を持ち逃げされ、中華料理屋で働く彼女と再会したことで仲良くなってしまう。
新次と健二は見事にプロテストに合格するが、健二(リングネーム、バリカン健二)の腕はさっぱりだった。新次(リングネーム、新宿新次)はデビュー戦で1R12秒という早さでTKO勝ちを収め、2戦目では宿敵裕二のジム所属の相手を打ちのめした。そして、自分を捨てた母親京子(木村多江)と出会い、複雑な気持ちを隠せないでいたのだ。
寺山修司が1966年に書いた小説(未読)が原作となっているが、時代を2021年に設定したことで、かなり面白くなっている気がする(どちらも東京オリンピック直後というのは偶然か?)。東日本大震災や原発も登場人物に絡めていて、徴兵制を批判的に描いている。自殺に関しても新次の父親が帰還後に自殺したことをメインにして、帰還兵の自殺という奥深い問題を取り上げているのです。
あーそうなんですか。原作の刊行がそんな時代だったなら、この映画の流れがしっくりきました。
今時、ボクシングで見返してやる!とか上り詰めてやる〜って流行らないですもんね。
私はボクシング好きですけど😅