ミス・シェパードをお手本に
劇場公開日:2016年12月10日
解説
「ハリー・ポッター」シリーズでおなじみのイギリスの名女優マギー・スミスが、16年間にわたり主演してきた舞台劇の映画化で、スミス扮する風変わりなホームレスの老女と劇作家の奇妙な絆を描いたドラマ。北ロンドン、カムデンの通りに止まっている黄色いオンボロの車で暮らすミス・シェパード。近所に引っ越してきた劇作家のベネットは、路上駐車をとがめられているミス・シェパードに声をかけ、親切心から自宅の駐車場に招き入れる。それから15年、ミス・シェパードはベネットの家の駐車場に居座り続け、ベネットは、高飛車で突飛な行動をとるミス・シェパードに時折、頭を抱えながらも、なぜかフランス語に堪能で、音楽にも造詣の深い彼女に惹かれていく。脚本を手がけた劇作家アラン・ベネットの実体験に基づく物語で、舞台版に続きスミスがミス・シェパードに扮し、ベネット役をロイヤル・シェイクスピア・カンパニーなど舞台で活躍するアレックス・ジェニングスが演じている。
2015年製作/103分/G/イギリス
原題:The Lady in the Van
配給:ハーク
スタッフ・キャスト
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2016年12月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会
瀟洒な住宅が並ぶ北ロンドン、カムデンで、黄色いおんぼろワンボックスカーで暮らすホームレスの老女、ミス・シェパードを、なぜ、劇作家のベネットは車ごと庭に招き入れたのか?ベネットが単に物好きな男だったからではない。ミス・シェパードのシビアな人生経験に裏打ちされた頑固さとユーモアが、彼の作家魂を否応なく刺激したからだ。あんな頑固婆なんか放っておけ!というコンサバな自我と、その状況を思わず文字に置き換えてしまう作家の性(さが)とが、つまり主観と客観が格闘する様子を、このジャンルでは珍しい合成を駆使した俳優の1人2役で描いているのは、終始主人公の自問自答方式で展開する映画の方法論としては理に適っているわけだ。一方で、シェパードとベネットは共に社会の倫理を逸脱した者同士独特のシンパシーと、深い孤独を共有し合う仲である。ベネットにとってシェパードとの出会いは、作家の創造力を誘発する千載一遇のチャンスであり、同時に、淋しい自分と向き合い、そこから脱却するステップボードでもあった。ラストで引用されるフレーズに耳を傾けて欲しい。「物語を書くのではなく、自分の中に物語を見出すのだ」。そう、作家ばかりではない。我々は皆、人に語れる物語の主人公たれ!それこそが、基になっている舞台劇の、本作のテーマである。
2022年11月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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エンドロールに流れるショパンのピアノ協奏曲第一番 第三楽章
の後の曲はオリジナルのようだが、ショスタコーヴィチのセカンドワルツに似ている。
会話が素晴らしい。実話に基づくフィクションでこれだけ面白い話は無かった。傑作だと思う。
日本には『PLAN75』があるから、こんな問題にはならないね。しかし、このお婆ちゃん果たして、『PLAN75』にサインするかね。
マギースミスが好きだから観ました。
なんだろう…先ず日本語の題名と映画の内容が合っていない。
作品自体は悪くないが、アラン役がザ•クラウンのエドワードを演じていたため今作に馴染むのに時間がかかりました!笑
実に芸術家的な性格であったのに、宗教が才能を封印してしまった人生。事故によって強迫観念も相まって祈りに執着して行く人生。悲劇に仕上げられた物語かも知れないけれど、生きることの妙に思い入れのあるコメディ仕立てになっていて、いまの冷たく白けたご時世に少しの温かみを味わった。彼女が望んだカップ半分のコーヒーの様な温かい物語だった。