「レシピで繋がる人達」ラストレシピ 麒麟の舌の記憶 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
レシピで繋がる人達
様々な出来事や登場人物が、最後ひとつの線で結ばれて繋がる物語。
基本的に主人公の佐々木充がひたすら人から話を聞いているだけなんだけど、少しずつ見えてくる真相にジンワリさせられた。
こだわった料理を作ることに全く重きを置いていない私としては、料理人の命!みたいなものには全然ピンとこないし美しい創作料理はただ綺麗で凝ってるんだなーと思うだけで正直あまり美味しそうとは思えない。
でも一つの物事を極めるために相当の覚悟が必要なことは理解できるし、それを成し遂げようとする人間と周りの人達の共に成長していくさまは素直に胸に響く。
一度食べた料理の味は忘れず完全再現できる能力を持っているとはいえ、充にレシピ探しを依頼したところで何になるんだ?探偵に頼んだ方がよっぽど早く安く済むのでは?と思っていた前半。
だんだん分かってくる、充でなければならなかった理由からはレシピにかけた情熱と執念と愛が伝わってきた。
人情に薄く、料理の完成度だけを追い求めていた充が最後に見せた表情がとても素敵だった。
この結末まで充はものすごい回り道をしたけど、自分の足で人を訪ねて周り色々な人から色々な角度で話を聴くことが結果とても良かったのかなと思う。
最後は何に感動してんのか自分でもよく分からないまま大泣きしてしまった…笑
主演の二宮和也はじめ役者陣の演技がとても良い。
とくに若い頃の楊清明役の兼松若人は最高だった。
中国語訛りの口調はコミカルで場を和ませつつ満州人ならではの複雑な心境もあり、この映画の中で一番好きなキャラだった。
わりとゆるやかで滝田洋二郎監督らしい、人の細かいドラマをふんだんに仕込んだ映画を観れた。
創作料理達はストレートに美味しそう!とは思えないけど、どんな味がするのかとても気になるので食べてみたいな…